修行

2年ほど前からSNM上流域でイブニングをどっぷりと楽しみたいと思っていた。
道らしき道はないに等しく川通しで帰ってくるのに2時間以上はかかるから暗くなるまでイブニングを楽しんで暗闇の川を帰ってくるのは危険なのでイブニングの後その場に泊まって翌朝朝一を楽しんで帰ってくるという段取りなら可能だ。
ただ泊まるにしてもテント、寝袋、食糧、飲料、釣り道具1式その他を背負って川通しで登り帰って来なければならず、水量、天候、体調も万全な時に決行しなければならない。それに単独でSNM上流域に泊まるほど根性もないし体力に自信もないのでパートナーは必須、で、この計画に乗ってきたのは業師のみであった。業師も休日前は忙しく帰りはかなり遅くなるらしいので事前に日程調整も必要、私の気分や体調にあわせて即決行という訳にもいかずなかなか決行出来ずにいた。
という2年越しの計画をそろそろやってみようじゃないかと業師と相談の結果決行することとなった。
条件は少し水量は多いかもしれないが天候はまず大丈夫、体調も問題はない・・はず。問題は暑さに勝てるかというところ。水分はたっぷり必要、となると担いでいく水分も少なくとも5~6リットルとなる。不必要なものはなるべく省いたが1人分のザックは15Kgほどになった。

徹夜で走って朝一を狙っても必ず先を越されるのはいつもの事、ましてこの暑さだ、睡眠不足では体力が持たない。ゆっくり寝て出発しようと7:00前から出発。
取水堰堤に到着したのは10時半ごろ、昼食を早めに済ませて11時出発。暑い。
30分遡行してザックの重さが応えてきた。、汗も半端ではない。たかだか15Kgだがずっしりと腰に来る。、日頃の運動不足を悔やんでも仕方がないが、これであと2時間歩けるのだろうか。
あてにしていた30分ショートカットの踏み跡もブッシュが高くなりすぎて川を歩くよりも辛いので川通しで遡行しなければならない。休憩時にザックをおろすと体がスーッと軽くなる。汗が滴り落ち汗が引くまで休憩すると再びザックを担ぐのが辛い。
1時間半ほど我慢して遡行したがただただ遡行していると辛いだけなので釣りをしながら登ろうということになった。丁度その頃霧が出てきて雲も広がり日差しを遮ってくれだしたので案外楽になってきた。

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イワナのアタックもそこそこありザックの重さは変らないのに汗も引いている。気温が下がって直射日光もなくなったからだろうか。

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3時前そろそろテン場を探して設営しておかないとイブニングに集中出来なくなるぞとテン場を探すが適当な場所がない。川原に設営するのは安心できないので少し高い場所で開けたスペースを探すが開けたスペースなどあるはずがない、全てブッシュに覆われている。

そんなことを考えながら泡のど真ん中にぶち込んだ毛鉤に泡が切れる前ではっきりと尺越えと分かる奴がヘッドアンドテイルで出てくれた。この辺りの奴らは巻きや緩流帯ではほとんどでない。流心や荒い水面の合流点というイワナという感覚ではない。
上手く寄せた奴は尺越え確実、長さを計ろうとティペットを掴んで川原に上げようとしたら、身切れしてしまった、掛かりがかなり浅かったようで未計測という残念な結果になってしまった。
その後同じポイントの泡の流れ出しの石裏で業師がまたいい型を引き出したのだが、顔のでかさの割りに長さがなかった27cm。

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無理やりのテン場設営に踏み切った。ブッシュを踏み倒し、周りを刈り取って下敷きにしてスペースを作る。
やっとザックをおろして釣りが出来る。4時前になってしまった。
テン場作りでまた汗まみれ、イブニングに備えて長い休憩を取る。
4時半をまわったところで期待のイブニング開始。まだライズはないがボチボチ釣っているうちに始まるに違いない。

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テン場の前の淵の巻きで業師に出た黒いイワナ。

その上の平瀬で一投1尾連続ヒットし出す。始まったで~ボコボコタイム開始!

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淵の泡の切れ目で25cm、同じ淵の巻き(珍しく)で出た奴がグイグイ底へ引き込む、上がってきたのは尺あるかな?という微妙な長さ、計測30cmジャスト尺1尾目、その後18,20,23,26といろんなサイズが出てくれる。ライズは始まっていないが始まる前からこの調子なら凄いことになりそう。

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ふと業師の立っている方向を見ると大きなトンネルの入り口が・・まぁだ残雪があるんかい!標高600くらいやで。トンネルの入り口からは冷気が霧になって降りてくる。ひんやりして気持ちいい。

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さぁてそろそろ6時回ったで~ライズの嵐はまだかいな?
残雪の辺りから反応がなくなった。滝の下でやっと業師に25cm。

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その後ぱったり・・・・で終わってしまった。
はぁ~30分ほどのボコボコの始まり前兆のみでボコボコなし。尺2本のうち1本は未計測、業師最大27cm。ん~こんなはずでは・・・。

夕食は軽量化のためおにぎりとカップヌードル、ビールのあては冷たい枝豆。
流木は少し湿っていてなかなか焚き火が大きくならず、空は曇りで星も見えず。
あれだけ苦労して来たのになぁ。

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翌朝6時起床、遅い、10時前には寝たのに起きられなかった。私がうだうだしている間に業師が昨日やったところを攻めてきたが反応はなかったようだ。

午後から降り出すとまた暑くなる、涼しいうちに帰ろう。ボコボコポイントはもっと上なのか、それともどこまで行ってもこの程度なのか。今の体力ではここが限界。もう一度確かめに来る気にもなれない。
疲れた・・・
同行してくれた業師に感謝!

石川
爽快渓流フライフィッシングに魅せられて