唯我知足

またしてもT川は.我われに厳しい試練を与えてくれました。
直前3日間の降水量が0であることを確認して出かけたはずですが、朝7時半に到着してみると予想をはるかに超えた水量です。
この川の持つ想像を超えた保水力に少なからずショックを受けながらも、とりあえず中流部の青い橋まで見に行こうと車を走らせました。
しかし、今度は途中の堰堤の手前付近で非情にも土砂崩れが発生していたのです。
これでは増水時の唯一の保険である奥川並谷へ行くこともできません。
やむを得ず、いつもの本流上流部に入渓しました。
増水してはいるものの、ポイントはそれなりにあります。
今回同行したのは、親会社であるN商事のM君です。
メインフィールドが通天湖で、そこの特別優待会員とのことですが、それだけ通っているということです。
管釣り経験が豊富なだけに無難なキャスティングと安定した飛距離の持ち主です。
あと自然渓流での魚が潜むポイントを覚えて、ラインを手繰るスピードと流れのスピードを同期させればもっと釣果は上がるはずです。
釣りはじめて3つ目のポイントでM君にファーストヒットです。
18センチくらいのアマゴでした。
が、しかしフッキングが甘かったのか、はずれてしまいました。
アマゴがドライフライに反応するスピードは0.3秒だそうですが、今の合わせは0.5秒かかってしまいました!
その後、小さいアマゴが何匹かヒットはするものの針に乗りません。
そして、先週F氏が28センチのアマゴをキャッチしたポイントに到着しました。
そのポイントで、M君にそこそこのサイズがヒットしたのですがフックアップしませんでした。
今回も0.5秒。管理釣り場の魚ならそれでも合うんでしょうが、野性の魚に対抗するにはこちらも0.3秒で対応しなくてはいけません。
その後、奥の曲がり角の淵までやってきました。
今まで多くのT川サイズとめぐり合えた、T川では決して見逃せないポイントのひとつです。
私の第一投目が慎重に岩盤の縁の緩いレーンを流れたそのときです。
水面を割るようにして27-8センチは優にあると思われる体高のあるアマゴの背中が見えました。
『デカイ・・!!』 しかし、何が彼の集餌本能を躊躇させたのか・・・。
無情にも銜える直前でアント#16のわずかに横を素通りし、深く潜行してしまいました。
そのあと、手を変え品を変え、無駄な抵抗を試みましたが、二度と姿を見せてはくれませんでした。
『後悔先に立たず』、あのときクイルボディかエルクヘアに交換しておけば・・・。
雨が降り出してきたので12時半に上がり、昼食を早めに済ませてさらに上流部に入りました。
そして、雨足が強くなってきた3時に一旦車に戻り小止みになるのを待ちましたが、増水に加えて濁りがきつくなってきたためストップフィッシングとしました。
釣果は15センチ前後のT川予備軍アマゴが3匹。
帰りにN川漁協に電話で確認したところ、10日の鮎の解禁はこの雨の濁りで1週間延期になったとのこと。
梅雨前線がしばらく停滞しそうな気配の中、16-17日にT川キャンプを計画していましたが、今回は残念ながら中止せざるを得なくなりました。
7月の梅雨明け頃といえばイワナの最盛期です。北陸方面へのイワナ釣行に切り替えて計画を練り直すことにします。
それにしても今回もまた、期待を大きく裏切られたT川。
“釣りに行けるだけで幸せ”といった知足の境地には、いつになったら到達できるのでしょうか。(O)

滋賀
爽快渓流フライフィッシングに魅せられて