増水と濁り、未だ収まらず

これからは水温も上がってドライフライでは釣り辛くなるだろうし、美女軍団に逢えるのも今回が最後になるかも・・・
と、感慨深い釣行となった。
早朝5時、いつもの場所に降り立った。
辺りは森全体を覆う朝霧に包まれて晴れているのか曇っているのか解らない。
ウグイスの『ヨーイスタート』という声を合図に第1投。
かなりの水量と流速に乗ったQBP16番はあっという間に流されてしまった。
そう、今週降った雨が増水と濁りという形で影を落としていたのである。

しまった、これならU川へ行った方が良かったかも、と思ったが既に遅すぎる。
どこかの誰かさんは有給をとって4日の金曜日にU川へ出かけ、増水や濁りの全く無い中で、なんと25匹のイワナを1日でキャッチしたとのこと。
人工物の取水堰堤に守られたU川は、ちょっとやそっとの雨は影響しないのである。

こちらは平水より10cm以上高く、水温も14℃と先週よりさらに1度上昇。
最後はいい形で締めくくりたかったところだが、自然が相手では仕方がない。
気持ちを切り替えて増水で水圧の強くなった流れを押しのけながら進んで行く。
そして、軽いジョギングくらいの流速の脇に出来た緩いスポットから元気に飛び出してくれたのは、本日第1号のイワナ君、サイズは18cm位でちょっとスリム。

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来年の再会を約束してそっとリリースした。

通いなれている区間だけに魚の居付いているポイントは知り尽くしているつもりだが、この増水と濁りでは全く参考にならず、苦戦の連続。
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18cmと19cmのアマゴをやっと追加して区間前半部分の半分が過ぎた辺りで、何気なく林道に眼をやると、bird氏が手を振っている。
“なぁーんだ来てたのかー”と、それから合流することになった。
f1

私がドライで苦戦しているのを知ってか知らずか、bird氏はハードシェルアントにマーカーを付けてウェット感覚で挑戦している。

いつもながら研究熱心というか、釣りに対する貪欲な姿勢は見習わなければならないと思う。
しかし、そのbird氏も苦戦している。
時々、マーカーを勢い良く消し込む当たりがあるようだが、フッキングしない。
どうもチビアマゴ達に弄ばれているようである。

増水に加え蜘蛛の巣が半端ではなく、朝一区間を終えたのは10時を回っていた。
ここまでイワナ混じりで18−20cmのアマゴが5匹と、ここ最近の釣果としては最低で、bird氏も同様に苦しんでいる様子。
この水量だと、中下流部では釣りにならないと判断し、上流部のいつものお決まりコースへと移動することにした。

木陰に車を停めて、入渓地点である杉林方面へ向かって歩いていると、後方からミニサイクルに乗ったフライマン氏が近づいてきて『この区間は私がもうやりましたよ!』とのこと。
さらに魚籠には20cm前後の釣りたてアマゴが10匹収まっている始末!
そういえば下流に青いボルボが停まっていたなぁとbird氏と顔を見合わせた。
仕方がない、その上流部へ入ろうと、川へ降りた。

この最上流区間は増水と濁りが出たときの逃げ道的存在だが、魚は結構濃い。
ただ、上がほとんど開けてなくライン操作が困難を極めるのである。
ここで私に良型がヒット、慎重にランディングしたのは25cmのアマゴだった。
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“君に逢いに来たんだよ!” この1匹で今日はもう満足という気にさせる美形。
その後23cmと20cmのアマゴを追加して1時過ぎに上がった。

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k2

どうもポイントの巡り会わせが今日は私のほうに微笑んでいたようで、bird氏にヒットするのは20cmまでのイマイチサイズ。
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f2

昼食と昼寝休憩をたっぷりとって、4時過ぎに午後の部再開。
お昼前に入った最上流部の続きは、蜘蛛の巣やブッシュとの格闘が想像されて敬遠し、結局例のボルボ氏が入った区間をやることにした。
あれから時間も経過しているし、何より蜘蛛の巣は取り払われているはずである。
しかし、野生の渓魚たちはそんなに甘くない。
相手をしてくれるのは学習能力の低い赤ちゃんアマゴのみ。

そういえば例のボルボ氏のロッドのフックキーパーに付いていたのはアントだったのを思い出した。
それならばクリームボディのカディスで行こうとフライをチェンジしたのが正解。
ポツポツ拾えるようになり、21cmのイワナに23cm、20cmのアマゴを追加して終了した。
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20-2

今年のT川、去年と比べると多少回復している気がする。
魚影の濃さは、その年の降雪量と微妙に関係することが解りかけてきて、この地域に住む人たちのことも考えず、来年は豪雪になってくれと願う私は自分勝手なフライマンです。
8時を回り、ゲンジボタルの妖しい光に見送られて、今日も一日充分愉しませてくれた渓を後にした。(O)