寒狭川釣行記

愛知県東部を流れ、三河湾に注ぐ豊川。
その上流部は寒狭川と呼ばれ、春は渓流釣り、夏は鮎釣りで賑わう愛知県を代表する名川である。
上流部にはイワナが潜み、アマゴ主体の中流部にはC&R区間が設けられている。
ゴールデンウィークの5月3日~4日、帰省を兼ねて初めて訪れてみた。

ここ寒狭川には、上流部と中流部に二つの漁協が在り、当初はイワナ狙いで上流部に入るつもりだったが、現場に着いてみると車の止められそうな場所は、餌釣り師とおぼしき車に既に占拠されており、遅出の私には入る余地が無い。
連休ということもあるが、改めて人気の高さをうかがうことができる。
やむなく中流部まで車を走らせ、入漁券売り場で情報を得ることにする。
日券が1,000円と安い。

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いつも思うことだが、中部・北陸方面の入漁券はどこも1,000円前後と比較的安いのに、関西地区は高すぎる・・・、愚痴ってもしょうがないが。
情報によると、寒狭川中流部は成魚放流が中心で、鮎釣りが始まるまでが釣期とのこと。
まだ魚は残っているという話を真に受けて、とりあえず券売り場直下を釣ることに。
水温は12℃とまずまずで、このあたりは水深30cmから70cmくらいの緩やかな瀬が多い絶好のポイントが続く。

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しかし、時々反応してくるのは、ハエやカワムツばかり。
ここは絶対に出るだろうというポイントを、完璧なドラグフリーで流せてもアマゴからのシグナルが響いてこない。
予想はしていたが、これほど魚影が薄いとは・・・!
しばらく空しい時間が流れた後、大淵へ流れ込む瀬肩で不意に飛び出した。
22-23cmの良型アマゴだったが、痛恨の合わせ切れ!
合わせ切れ症候群が伝染したか・・・、人のことは言えない?
追い風が少し強いので、恐らくウィンドウノットが出来ていたのだろう。
こういうことがあるから、ティペットはまめに点検しておかないと。
でも魚が居ることが確認できたので、気を取り直して次のポイントへ。
そして、しばらく進んだ瀬の開きで、ようやく1匹目のアマゴとご対面!
20cmの朱点が鮮やかでヒレピンの何故か天然アマゴだった。

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しかし、アマゴの数の数倍雑魚が釣れてくる。
そうこうしているうちに昼前になり、ここでお終いというポイントで強烈に飛び出したのは、25-26cmはありそうな良型アマゴ。
下流の渕に向かって走り、グイグイ締めこむ。
久しぶりにアマゴの強い引きを堪能し、そろそろランディングをしようと口を水面から出して弱らせたと思ったその時、奴は顔を左右に振ってフックを外してしまった。
フライが空しく空中を漂い、アマゴの大きな口の残像が目に焼きつき、しばらく何が起こったのか解らずただ口をポカーンと開けていた・・・。
入漁券売り場、兼雑貨屋にはお酒も置いてあるので、午前中の悔しさを缶ビールで紛らし、少し休憩してから午後の部スタート。
車で少し上流へ移動し、渓相の良さそうな所から入渓。
すぐに放流アマゴの18cmをキャッチ。
最終的に、夕方までで20cm前後の放流アマゴを2匹追加して、この日の釣りを終えた。
全般的に寒狭川中流部は放流アマゴが中心のため釣れてくるサイズは良いのだが、雪が少なく2月解禁で釣り荒れが早いせいか、魚影が薄い。

明くる4日は、C&R区間をやってみようと、昨日より下流部に朝9時に到着。
しかし、渓相は大きなプールの連続で、ルアーマンがポイントごとに張り付いている。
上流部漁協へ移動しようかとも思ったが、中流部の入漁券を買ってしまった後なので、止む無くそこからさらに下流へと移動し、支流の巴川に入渓することにした。
村の中を流れる巴川は、瀬が主体で低堰堤と曲渕が多くある里川といったイメージの川で、
やはり成魚放流が中心だが天然も望めるとのこと。
格好の入渓ポイントを見つけ、第一投目でいきなり20cmの放流アマゴをキャッチ。
しかし、昨日と同様で魚影は薄く、少し緩いポイントでは雑魚の猛攻に会う。
しばらくして、大淵の上の深瀬に、いかにも良型の潜んでいそうなポイントを発見。
昨日のこともあるので、ティペットとフックを念入りにチェックしてキャステイング。
そこへ待ってましたと飛びついたのが、今回の釣行で最大の24cmの放流アマゴ。

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アマゴの取り込みにランディングネットを使ったのは、ほんと久しぶり。
その後、16cmと18cmの天然らしきアマゴをキャッチして、午前の釣りを終えた。
お昼は例の雑貨屋へ戻って摂り、ソファで少し休憩をしてから、昨日悔しい思いをしたポイントを再チャレンジ。
しかし、直前までルアーマンが入っていたようで、夏のような強い日差しを照り返す流れからは、水面を突き破る影を二度と見ることはなかった。
寒狭川中流部、危険な箇所も無くゆったりとラインが振れ、そこそこアマゴとも出逢える結構愉しめる川である。(O)