日曜日のU川

土曜日は雨の予報、末期限の仕事を午前中に届けなければならなかったので丁度良いと思った。
日曜は雨は上がるとの予報、届けなければならないものと一緒に釣具一式積み込んだ。
用事を済ませて、さて出発、燃料がないので給油に入ったら「レギュラー満タンですか?」と向こうから言ってくるので、初めて使うスタンドにしては厚かましいとこやな!と思ったら、翌日からまた値上げなのであった。こうも値上がりがひどいと来週からは遠出はなかなか難しくなりそうである。世の中金次第という御仁たちはいったいどれだけ貯めこめば気が済むのだろうか、人がお金というものを発明してこの方このような歴史がいくつ繰り返され、弱いものが食い物にされてきたのか!御仁たちの膨大な資金があくなき欲望のためではなく、せめて飢えに苦しむ子供たちの為に使われるのなら…
無い者ばかりなのだろう、こんなことを考えるのは。有り余るものたちには小ざかしいとしか思えないのだろうな、きっと。
とにかくこれからは無駄走りを控えてECOに貢献しなければ。
まっそんなことで、お前も釣りに行くくらいなら募金に協力したらどうだといわれそうだが、U川へ午後から向かう。
北陸道では今、ETCのバーが上がるのがかなり遅い。知らずに突っ込んだら上がらないので急ブレーキかけそうになった。20Km設定の実験中らしいが毎度使わないものはかなりビビッてしまうですよ。
I谷5:30到着、取水堰堤の上をイブニングしようと思っていたら既にイブニング中であった。仕方ないのでまたまた第2堰堤下から第4堰堤までの担当となる。
慌ててもしょうがないと言い聞かせて落ち着け落ち着けと思うが、やはり夕方着のイブニングは焦る。バタバタと支度して第1投、いきなりモッコリ背中を見せて出るがアマゴ合わせで空振り。イカン、イワナだ、ゆっくりゆっくり!
それにしても今日は土曜、結構攻められているはずだが、そのような気配も感じない出方に驚く。
第2投、モッコリ!なんかいやらしい表現だがこれ以外表現のしようのない出方。

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久しぶりの検寸、26cmおぉ25UP!今期初物
尺とか出るんちやうか~と思うと、また焦る。出た~~~~… が…、またもや空振り、???何で?#14って大きい?#16に変えてみる。グンと乗ってフワ~、バレル。ハハァ、やっぱりすれてるんだ。食ってるようで食ってないのかも。ついさっき来たばかりでは状況がつかめない。目だった羽化もないし、とりあえず出るので#14で攻めていくことにする。
第2堰堤下の淵でバラシふたつ、第3堰堤下の淵では25チョイ足らずを2尾、そして第4堰堤
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ライズが始まった。が…水面の荒い左岸側では毛ばりを暫く置いておくとガバッと食ってくるが一筋の流れの流芯を外して静かな水面でライズしている右岸側のはまったく反応せず、バカにするように毛ばりとは違う場所でライズを繰り返す。わからん!ソフトハックル行こ…、ライズポイントをクロスするようにリトリーブ、ゴン、バシャ、ポッコンと25前後が連発、左右あわせて7尾Hit、尺はでず。
7時を少々回って獣の臭いが漂ってきた、長いヤブを抜けて林道に出なければならない、この辺で切り上げておかないとヤバイ雰囲気になってきたので今日はこれで終了。

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翌日午前4:40起床、シュラフから出ると寒い!気温は5℃、フリース持って来て良かった。
昨日I谷はさほど増水していなかったが本流はどうだろうか。昨夜は満天の星空で私が到着した夕方以降は雨は降っていないから、丁度いい加減の増水だと思うのだが……、ゲッ…15cm増、ささ濁りだが水量が多い!ほとんど白泡、流速も早い。どうしようか、取水堰堤下の方がいいだろうか、いやいや今日は日曜、取水堰堤下は昨日かなり攻められているはず、それにこの増水だと昨日は取水堰堤上はかなりの増水だったはずだから堰堤下よりプレッシャーは低いんではなかろうか。それにこの区間(観音谷出合いから次の堰堤まで)は増水時に尺3本の実績がある。増水時に狙わなければならない。
ヨッシャ、渡渉に少々難儀するかもしれないが一発狙いでやってみるかと釣り始めては見たが、流すポイントがない、淵の巻き込みか長い瀬の尻くらいしかない。しかも全く反応なし、まだこの時期は早朝は出にくいかもしれない、しかも増水ときている。区間の半分ほど一生懸命やってみたが、巻き返しから1尾20cmもないのが出ただけ。ミスったな、やはりこの水にドライというのは難がありすぎる。さっさと目ぼしいポイントだけ攻めて詰めの堰堤下に期待しようと急いで釣りあがり堰堤まであと少しのところで藪の中でうごめくものを発見、熊スプレーの入ったポケットのチャックを開き、何だ?と確認すると人だ…餌師だった。堰堤下に直降りしたのだろう。これから戦闘開始の準備中だった。堰堤下の淵も白泡だらけであまり期待できそうもないので餌師に頑張ってと譲り急斜面を這い上がる。実際、こんな水量ではミミズが一番だろう。重めのシズでどっかり沈めてやると案外入れ食うかもしれない。
その後、取水堰堤下に行ってみたが後の祭り、先客万来。仕方ないので上小池キャンプ場まで上がり上流部をやることにした。まず、下手の駐車場に車を置きキャンプ場管理棟のすぐ下手から入ろうと歩いて川に近づいていくと川から奇声が…やってる、フライが一人、今1尾あげてリリースしたばかりなようでネットの水を切るように振っている。面倒なので声もかけずに引き返す途中また奇声が…彼一人しか居なかったよな、どうやら彼は釣れる度に奇声を発する癖があるようだ。車に戻り最奥の駐車場まで走りここから川へ降りる。先ほどのフライマンから1Km以上上流になるので問題なかろう。
ささ濁りだが増水は微々たるもの。砂地には昨日の足跡だらけ、で、堰堤3つ越えてみたがチビイワナが3尾ほど、上流もアカン!
こうなるとI谷しかない。I谷の取水堰堤のもっと奥、崖状になった急傾斜の流れを攻めよう。I谷取水堰堤にはきっちり1台置いてある。もっと上流まで行けないかと走ってみると去年崖崩れしていた林道は復旧していてドンドンいける。林道がZ状に折り返す最初の広場にFitが1台。低床低重心のFitでよくここまで来たなと感心、さらに上流へ、崖状の流れに降りられる場所に車を置き2~30m下の川を見るとやってる…フライマンが一人、先ほどのFitだ。あそこに車を置きここまで歩いて来たようだ。とすると、ここからFitまでは空いているはず。急いで引き返し、Fitの広場に置き釣り開始。
1発目から出た、22cm。やっと思惑が当たった。ここから次の堰堤まで100mほどだがだれもやっていないようだ。

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このポイントは結構いいんだよな、Fitがやってると思ったが上に行ったとは思わなかった。堰堤まで100mで5尾、22~3cmばかりだが腹の黄色い野性味を帯びた綺麗なイワナばかりだった。ここの堰堤下は水深がありすぎてめったに釣れたためしがない。この堰堤は高すぎて巻けなかったよなと見渡すと、右岸が巻けそうである。最終の詰めにチョット手こずったが登れた。高い堰堤を巻く時気になるのが向こう側は降りられるのか?ということ。ギリギリの線で登り向こう側は降りられない、今登ってきたルートも登れはするが降りるのは滑落覚悟、行きも戻りも出来なくなってしまうことが往々にしてある。
幸い、この堰堤の向こう側には太いロープが掛けてあったので助かった、しっかりロープの強度を確認して下降。
いい流れが待っていてくれた。緩い瀬を流すと26cmイワナが、瀬の上流の巻き返しで3尾20~27cmが連続Hit!グイグイ上流に引き込んでくれるのがイワナ釣りの最も楽しい瞬間だ。
ここから200m行けば先ほどのフライマンが居た場所になる。2尾追加して終了。

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崖を登って林道を下り広場に帰る。気温は19℃、昼食は河原に座ってのんびりしようと流れを見ながら食べていると白泡の瀬からアカマダラがポツポツ羽化し出している。暫く蕎麦を食いながら様子を見ていると、1時間ほど前にやった長瀬の尻でライズしだした。大きくはないが放って置く手はない。アカマダラはあったかなとフライボックスを見ると、この間H氏から頂いたパラシュートにクリーム色のアダムスがあった。サイズもピッタリ、これならいけそうだ。ライズポイントに流し込む、バシャっと神経質に出るが乗らない。ハッチの量も少ないので先ほどのプレッシャーが完璧に忘れられてはいない様だ。結局又堰堤までやってしまった。アタックはかなりあったが、Hitしたのは20cmほどのが1尾のみ。サイズの小さいのを持っていたら結構取れたかもしれない、やはりフライのバリエーションはそこそこ揃えておかないといけないな。
河原にウドが残っていた。もう伸びきって食べられる状態ではないが2週間前ならお土産に出来たかも。ここ2~3年、野のウドを食べてないので香りだけでも楽しんでみた。
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早朝からあちこち探りまわってやっと納得できる釣りが出来た、I谷を下る途中2~3のパーティを確認、I谷はもう目いっぱいだ。もう帰ろうかと思ったが、I谷と本流の出合いに車が置いてない。ここから下流の本流は今は空いているなと思い、下流の発電所上まで歩き本流を攻めてみたが、20cmほどのが2尾来ただけ、淵の底をイワナがウロウロしているのがたまに確認できたが全く食い気はなさそうだった。
今度こそ帰ろうと思い、国道を目指し走っていたらT谷が気になってきた。ちょっとだけ、見るだけとT谷林道へ入る。I谷でやっていたフライマン2人にまた遭遇、みんな日曜のU川に翻弄されているようだ。谷が大きく二手に分かれるところまで走り川を覗くと小さな淵の石の前にそこそこのイワナが1尾定位している。これは頂いておかないとと、さっき仕舞ったロッドを再び継ぎ、ウエィダーをまた履いて谷に下りる。定位していたのは25cmの綺麗なイワナだった。暫く遡行していると瀬から白い小さなカワゲラが大量にハッチし始めた。ライトケイヒルの出番だ。イワナはこれに目がない、空中を飛んでいるカワゲラにジャンプして食いに行く。期待は高まるが、いっこうにライズが始まらない。釣り上がりながらライズを待つが1尾もライズを見なかった。本物がこれだけの量ハッチしているのに全くライズもしないのだから毛ばりに反応するはずもなく、暫くやってみたが諦めがついた。
日曜のU川は手強い、というかイワナに出る気を感じない。たまたま空白のポイントに入れるのを期待してアチコチ探りまわるのが楽しい方々にはうってつけの川である。
篤姫を見なければならないし、イブニングまでやる気がなくなったので今度こそ終了。
帰り道、軒並みガソリン価格は昨日より10円上がっていた。これでリッター10円分のCO2排出量は確実に減るのはいいことだが、釣りにいける回数も確実に減るのが寂しい夕暮れであった。