比良 武奈ヶ岳

先週はどこへ行っても釣りなど出来るような状況ではなかった。金曜の晩、悟られてしまった…絶好のチャンスとばかりに愚妻が朽木の百里ヶ岳へ連れて行けという。行けない理由はない…お見通しの提案であった。俺より数段営業力あるなぁ(T_T)
針畑川と北川の分水峠、小入谷越から百里新道を尾根添いに登りシチクレ峠から標高931mの百里ヶ岳へ、帰りは根来坂峠を経て焼尾地蔵から大倉谷へ下りて小入谷へ6時間のブナやクヌギの森散策コース。気温は23度とこの時期にしては涼しくてピーク手前の急登以外は私でも比較的楽な登りであった。途中夏○○○の群生地を発見、1株持って帰ろうかとも思ったがこんな群生地は珍しいんじゃないかと大事にしておきたくなり辛抱した。尾根沿いの道からは比良や琵琶湖も展望できて登山道は広葉樹の綺麗な道、秋の紅葉の季節はさぞ美しいことであろう。山頂で見かけたウスバアゲハの綺麗だったこと、その姿と飛翔の美しさに暫し見とれてしまった。
 で、今週もまだまだ釣りになりそうもないと見切って愚妻、今週は武奈ヶ岳だという。知らないということはここまで大胆になれるか!と呆れるがまぁ釣りも出来そうもないので行けるとこまで行ってみることにした。20代の頃、初日の出を見るためにありあわせのものを背負って一度登ったがいきなりの急登、そして延々と続く急登、山頂付近の尾根づたいで猛吹雪となり下から吹き上げてくる雪にテントも張れず雪の中懐中電灯で下山した記憶が蘇る。
安曇川上流葛川の支流明王谷の入り口に明王院がある。明王院裏手の杉林から標高1097mの御殿山まで約800mを一気に登る、斜度45度はあると思われる急斜面を九十九折に登山道はあるがそれでもこの急斜面はきつい。

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おまけに杉林を抜けるのに1時間はかかるがゆっくり休憩も出来ない。なぜなら杉林で休んでいると蚊の猛攻を受けるのである。熊が揮発性のものを好むというニュースを見て以来虫除けスプレーは持ち歩かないことにしたので蚊の思うがままである。心臓が壊れそうになるのをこらえて超短休憩を挟みつつ登る。
最初のピーク辺りからブナの森に変わりやっと大休憩、まだまだあと1時間はこの急登は続く、もう止めたいが愚妻は山頂への執念に燃えている。はぁ…
次第に森の背丈が低くなりだし登山道の前方に空が見えてきだした頃やっと体がなれてきた。御殿山1097m到着、2時間15分ほどかかった、途中の休憩が多すぎて標準よりかなり遅い…日頃の運動不足が骨身にしみる。

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御殿山から北にもう武奈山頂が見えているのがまたまた辛い。まだあそこまで歩くのか…
休憩をしていると若者が1人登ってきた。途中後方には見えなかったのでかなりの速さで登ってきたと思われる。「きついねぇ」と話しかけると「きついですねぇ」と答えるがさほどきつそうではない。若いなぁ
彼は5分ほど休憩してすぐにまた山頂に向かっていった。若いなぁ
一度ワサビ峠まで下りて尾根(西南稜)づたいにだらだら登る、この辺りは四方の山々を眺めつつ爽やかな風に吹かれて気持ちよかった。ここでもウスバアゲハの華麗な舞に出会った、本当に美しい。

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山頂まであと少しというところで雨になり山頂1214m

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残念ながら昼食とコーヒータイムは中止、雨脚が強いので赤土の深く掘れた登山道が川状態になると下りるのに苦労するんじゃないかと思ったからである。
思ったほど滑らなかったが愚妻は滑らないように必死だったそうである。それよりも急斜面の下りのきつさを始めて味わったのは膝にきたことである。渓流の川通しの下りでも膝にきたことはなかったのだが今回はきてしまった。下り切って平地がこんなに有難いと思ったのは初めてであった。私より愚妻はもっときていたようで下りる足のかかとが上がるたびに震えているのが分かった。ゆっくり下りようと言うが早く下ってしまいたいという気持ちが強いようでペースは落とさなかった。下りの事故が多いのがよく分かる。
かなり足にきてもう武奈はやめると言うかと思いきや、自信をつけてしまったのか秋の紅葉の頃にもう一度行くと決めたらしい…その時分は釣りの口実もきかないよなぁ