紫色に輝くイワナ

今年の渓流シーズンが終了する間際、“あの紫色に輝くイワナに逢っておきたい”
そんな思いに駆られ急遽引き寄せられるように出掛けたS川・・・。
そういえばこの川で実際にロッドを振るのは初めてだったのである。
大量の虻に襲われたり、大雨による増水に阻まれたり、あまりいい思い出がこの川にはなかった。

真夜中の高速を疾走しS川の林道最奥に到着したのが夜明け前の5時半。
無情にも1台の石川ナンバーがあり、既に車の中に人影は無かった。
少し明るくなってきたので川の様子を見るとかなりの渇水である、というよりほとんど水が無い・・・。
上流部で取水されているとはいえこれではちょっと・・・!

堰堤を下流方向へ三つほどやり過ごしたあたりまで進むと、水量も少しマシになってきたので車を停め川をじっと見つめていると小さなライズを発見。
少しやる気が出て200mほど下流へ歩いたあたりで川へ降りた。

20090927104635

20090927105119

川面を抜けるひんやりした風がやさしく頬を撫で、逸る気持ちを静めてくれる。

5-6投目に沈んだ岩の陰から勢いよく飛び出したイワナは、23cmくらいのよく肥えたアベレージサイズだが、確かに背中が薄紫色を帯びている。

20090927104346

そしてここのイワナは体長のわりに体高や厚みがあり、とにかく引きが強い。

20090927104449

少し色づき始めた多くの広葉樹林がここの魚たちを、そしてこの川を支えている。

その後精悍な面構えの25cmを追加し午前中は20-25cmを5匹、渇水で少なくなったポイントに苦戦していたWも2匹キャッチして終了。

20090927104924

20090927105138

午後はさらに下流へ移動、キャンプ場跡の木陰で昼食と昼寝。
好天に恵まれたこの日は禁漁間近ということもあって人が多く、朝から何台も車が行き来している。

夕まず目はキャンプ場跡から堰堤までに入った。
餌師によって昼前に攻められたあとだったが、暗くなるにつれてカディスへの反応が良くなり、27cmを筆頭に6匹キャッチできた。
Wは良型のバラシが何度かあって悔しい終焉となったが、今年1年目としてはある程度満足いく釣果を得られ、来年への課題も見つかってますます期待が膨らんでいる。

昼間見るより夕刻が迫る頃の方が紫色が際立ってくるこの川のイワナたち。

20090927105229

『引き良し、型良し、姿良し』 三拍子揃っていて一度で虜になってしまった。
今年はいろいろあって釣行回数を重ねることができなかったが、終わりよければ全て良しということか・・・。
『来年は是非、林道終点より奥を攻めてみたい』そんな思いを胸に帰途についた。
暗闇を吹き抜ける風がまた少し冷たくなったようだ。