西野川釣行記

霊峰御岳と木曽駒ケ岳の間を縫うように流れる木曽川は、上流部の木曽福島あたりで王滝川と二つに分かれます。
その王滝川の支流で御岳ロープウェイに続くパノラマラインの眼下を流れるのが西野川です。
ここ西野川にはC&R(キャッチ&リリース)区間が下流部に設けてあり、魚が濃いという情報を信じて、お盆休みで帰省した8月14日単独で出かけてきました。
朝4時に実家の岡崎市を出発、中央自動車道中津川I.Cを降り、R19(中仙道)を北上し、標高700m西野川出合いのお祭り広場に6時半に到着しました。
広場にある事務所で入漁券を買おうとしたところ、まだ閉まっています。
しかたなく上流部へと車を走らせました。
初めて釣行に出かける川というのは、どこから入渓したらいいのか分かりません。
ウロウロと走るうち、格好の入渓ポイントを見つけました。
西野川の支流で白川という谷にかかる橋の下が降りやすくなっています。
西野川との出合いまでは500m程あるため、100m位川原を歩いたところから橋までを試し釣りすることにしました。
水量としてはかなり減水している様子ですが、水温は14℃で、さすがに標高3,000mから流れ出る水はそこそこ冷たい・・・。
いつものことですが、初めての川の第一投というのは緊張感と期待感が交錯して、何とも言い難く胸がキュンとします。
いくつかのポイントを攻めるうち、ようやく1匹目のコンタクトがありました。
瀬脇の大石の横に定位していた16-7cm位のアマゴです。
残念ながらフッキングしませんでしたが、パーマークがくっきり見えて、水の透明感が際立ちます。
その後、橋の少し上流まで釣り上がりますが、魚の気配はありませんでした。
入渓しやすいポイントだけに釣り荒れているのでしょう。
とりあえず、9時前になったのでお祭り広場まで戻りました。

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事務所で入漁券を購入し、管理人に状況を確認したところ、お盆休み前まで西野川全域のうち3箇所で護岸工事をしており、川がかなり荒れているとのこと。
“そんなの聞いてないよう~”といったところで後の祭りです。
“まあ、最初からあまり期待していなかった訳だし~”と半ばやけくそで事務所下のC&R区間を釣り上がることにしました。
幸い、朝からまだ誰も入っていないということで、気を取り直して渓に降ります。
水温は18℃。西野川水系はどこも川原が広く開けていて、落差が少なく女性的な渓相をしており、そのせいで水量が減ると標高の割には水温の上昇も早いようです。
入渓して4-5投目でようやく待ちに待った西野川ファーストフィッシュに出逢いました。
12cm程のチビアマゴです。

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やはりどこも同じで、元気がいいのはチビっ子だけのようです。
そのすぐ後に今度は16cmのアマゴが釣れました。
少しサイズアップして期待を抱かせてくれます。
しかし、その後はフライローテーションをしてプレゼンするも、フライに反応して見には来るものの銜えるところまでいきません。
有名釣り場だけに連日フライマンに攻められ、護岸工事で脅かされ、相当警戒心が強くなっているところへ、ピーカンに高水温という悪条件が重なってはたまりません。
でも、確かに魚は濃い。いたるところでスプラッシュライズが見られるし、大きな淵には多くのアマゴが見えます。

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その後、500m程釣り上がったところであまりの暑さと、無力感でギブアップしました。
昼食後、今度はイワナ狙いで西野川上流部の谷を目指すことにします。
標高1,200mまで高度を上げると、晴れてはいても空気はひんやりしています。
ただ、明るく開けた渓相は同じで、イワナが好む水温と水量を維持してくれてはいないようです。
あちこちと3本の谷に入りましたが、いずれも無反応でした。
中流部には日本ライン下りが在り、雄大な渓谷美と急流を誇る木曽川ですが、上流部の西野川は意外に緩流域が多く、思いがけずアマゴ主体の川でした。
また、終日好天だったにもかかわらず、御岳は山頂付近を厚い雲で覆い、その優美な姿態を見せてはくれませんでした。
今回、マイメモリアルリバーの一つとして西野川を加えることができましたが、恐らく2度と訪れることはないでしょう。(O)

長野
爽快渓流フライフィッシングに魅せられて