骨酒の染み透る夜

昔、九つの頭を持つ龍がいて、その龍は一年に人間を九人食べていました。ある時ひとりの男が龍を倒すと、龍の頭が川になりました。
そんないわれを持つ九頭龍の頭のひとつである打波川へ行ってきました。
同行は、F氏、N氏、M氏と私の4人です。
実を言うと今回は、フライフィッシングもさることながら、最初からキャンプの夕餉のほうに興味の大半が注がれていたのです。
各自が思い思いの食材を持参し、満点の星の下さわやかな冷気につつまれて、骨酒でも飲みながら大いに盛り上がろうという魂胆です。
現地へ到着したのが16日の朝8時。川の状態は、3日前の雨もようやく落ち着きを取り戻し、平水より若干増水気味ですが何とか釣りになりそうです。
鳩ヶ湯温泉の例の無口な主人から年券を購入し、私と松チャンは鳩ヶ湯温泉の下流部、F氏とN氏は温泉の先にある堰堤の上流部へと入渓しました。
私のファーストヒットは丁度区間の中間地点あたりにある深瀬から続くそこそこ流速のある開きのポイントです。
28cmのきれいなイワナでした。いきなりこういうグッドサイズが釣れてしまうのがここ打波川の魅力のひとつです。今回は、増水気味で魚の活性が低いと見て、骨酒用にとりあえずキープしました。“南無阿弥陀仏・・・。”
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その後、昼前の最後のポイントでMチャンが初めてのイワナ23cmを1匹釣り(よかった!)、昼食のため上がりました。
F氏とN氏も2匹ずつ釣ったとのことで、とりあえず全員ボウズは免れたと喜びを分かち合ったのは言うまでもありません。実はこれが一番気がかりだったのですが・・・!
その後、テン場を打波川本流中流部にある亥向谷沿いの手ごろな空き地に見つけ、タープとテントを設営し、昼食にしました。午後の部は、我々二人は亥向谷の下流部を、F氏とN氏は上流の堰堤下狙いで分かれて入渓。我々は増水気味の水量によるポイント潰れでノーフィッシュ。堰堤下を丹念に攻めたF氏のみが5-6匹のイワナをキャッチしたとのこと・・・流石です。!!
さて、早めに切り上げた我々二人は夕餉の準備にとりかかります。炭を熾してイワナをじっくり時間をかけて焼き上げます。
Mチャンは鶏一羽丸ごとを使ってのローストチキン作りです。そうこうするうちにF氏とN氏も帰ってきました。
夕餉のメニューはメインが牛肉と豚肉のバーベキュー、ピラフ入りのローストチキン、野菜は玉ねぎ・椎茸・ピーマン・パプリカ・万願寺とうがらし・ジャガイモ等々、デザートは完熟の桃。そしてもちろんイワナの骨酒。
イワナは3時間かけて炭火で焼き上げただけに油や水分がすっかり抜け、熱燗の中に浸すと琥珀色のエキスが染み出し、なんともいえない芳醇な香りが辺りを漂います。
3合の日本酒があっという間に無くなってしまいました。エキスの染み出したイワナは、再び炭で炙り、頭と背骨を残してきれいに食べつくしました。合掌!
このあと、冷やしソーメンとスイカを食べる予定だったのですが、満腹でとても食べれたものではありません。翌日の昼食に回すことにして、その夜はぐっすり夢の中へ。
翌日は朝6時頃起床し、そそくさと朝食を済ませ、2日目の釣行に出発しました。
昨日同様、私と松チャンがペアになり、鳩ヶ湯温泉の下から上流の堰堤までをやり、F氏とN氏は昨日我々が入った下流の堰堤から鳩ヶ湯温泉までをやることになりました。
我々の入ったポイントは打波川の中でも最も魚影の濃いところらしく、早朝より果敢にエルクヘアやアントにアタックしてきます。そこではお昼までに7匹(22-24cm)キャッチしました。Mチャンはトラブルの連続で残念ながらノーフィッシュ。
リーダーシステムを短くするとドラグがかかり、システムを長くするとトラブルが多発するといった悪循環に陥ってしまっています。解消法は17-18フィートのシステムを無難にキャスティングできるようになるまでひたすら振ること。あと、立つ位置に気をつけること。立つ位置によっては岩等を利用して、ドラグは回避できます。
お昼にテン場に戻ると、先の二人はすでに帰っていて、おいしそうなソーメンの支度が出来上がっています。肝心の釣果の方はぱっとしなかったようですが。
ミネラル分のたっぷり詰まった渓流の冷たい水に浸したソーメンを野外で食べる・・・まさに絶品です。そして、食後のデザートは旬のスイカです。京都の老舗青果問屋厳選のスイカだけに甘みが口の中一杯にに広がります。
たまたま通りがかった漁業監視員のオッチャンにもおすそ分けをし、地元の情報話に花を咲かせます。
少し昼寝をしたあと、今釣行最後のアタックに出かけます。F氏の勧めで打波川本流上流部を攻めることになりました。
私とMチャンが入ったポイントは運良くその日誰も入っていなかったようで、入渓早々にMチャンが23cmをキャッチ(まずは一安心)。続いてすぐに私にも22cmがヒット。虫も飛び出し、イブニングタイムの始まりです。その後荒瀬が続くポイントを飛ばし、堰堤手前の落ち込みの肩で私に良型がヒット。7xのティペットだけに取り込みに手間がかかりなんとかランディングしたのが27cm。
その間にMチャンのロッドが大きくしなっています。なんとか無事に取り込んだのがこれも27cmのよく肥えたイワナでした。Mチャンのこれまでのギネスサイズです。
M27

その後、堰堤の上で22cmと25cmのイワナを私がキャッチし、ストップフィッシングとなりました。
あとの二人も25cmまでを仲良く3匹ずつとのこと、非常にいい結末を迎え、まさに至福の2日間の釣行を終えました。
今回、残念ながら予定が合わずに参加できなかったNさん、Mさん、Wさん来年も再び企画しますので次回はぜひ参加してください。(O)