高島鴨川初釣行

標高1214m、比良山系最高峰を誇る武奈ヶ岳から湧き出る清冽な水は、尾根の西側で安曇川に流れ込み、東側は高島鴨川となって琵琶湖に注ぎます。
その高島鴨川は、流程20kmに満たない小規模な川ですが、上流部にはイワナ、アマゴが生息し、中流部にはニジマスが放流されています。
琵琶湖には大小120本もの河川が流入しており、琵琶湖を海にみたてて『ビワマス』のような独自の生態系による生きものが生息しています。
しかし、そんな固有の在来種である『ビワマス』の溯上が不可能となっているのが、この高島鴨川です。
まだ残暑の残る8月27日、以前から気にかかっていたこの川に、今回初めて訪れたのですが、まず砂防堰堤のあまりの多さに驚かされました。
村の中を流れる中流部の5kmほどの区間だけでも10個ほどの堰堤があり、そのほとんどが5m以上の高さで魚道も無く、落ち込みもコンクリートで護岸されて、魚が潜めそうな釜の部分がありません、
落胆の色を隠せないまま上流部へ移動し、最奥の入漁券売り場で状況を確認したところ、このところの渇水では最上流部へ行かないと釣果には恵まれないだろうとのこと。

とりあえず、上流部の車道が途切れるあたりから入渓したのが、早朝6時半です。
白い砂と白い岩が多く、ところどころに適度な深さの落ち込みが在って気持ちのいい渓相なのですが、渓を覆う木々やブッシュが低く垂れ下がり、フライのロストが半端ではありません。
釣り始めて1時間くらい経過したところでようやくファーストフィッシュに出逢いました。
12cmくらいの朱点とパーマークの鮮やかなチビアマゴです。

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19℃ある水温と渇水が影響しているのか、時折フライに出てくるアマゴはいずれも15-6cm以下のものばかりで、どうも釣趣に欠けます。
その後15cmほどのアマゴを追加して午前中の釣りを終えました。
その後、木陰で昼食を摂り、昼寝を決め込んだのは言うまでもないのですが、あまりの涼しさに眠りを妨げられてしまいました。
期待できないまでも、夕まずめは中流部で一発大物をと決め込んでいましたので、川面が日陰に覆われる4時半頃、再び渓に立ちました。
しかし、思ったとおり相手をしてくれるのはカワムツやハエばかりで、暮色がせまる7時前、婚姻色に染まったひときわ大きなハエを釣り上げたところでストップフィッシングとしました。

中流部の渓相は、落差がほとんどなくフライも振りやすく、5月の連休前までに来れば結構愉しめる気がしましたが・・・。
特に中流部の河原にはゴミも多く、村が近いこともあり生活臭が感じられるのと、それに何より人災の最たる象徴である砂防堰堤が随所に見られ、残念ながら、私の中では二度と訪れたくない川のひとつにランクインされてしまいました。
『安・近・短』に甘んじた今回の釣行でしたが、風の冷たさに秋の気配を感じた一日でした。(O)