2007年FF開幕

『願わくは花の下にて春死なん・・・』と西行が詠んだ如月の望月の頃はもう過ぎてしまったが、奈良公園から吉野山へ続く国道169号線は桜の名所が随所にある。
そこ、ここで咲き競う花を愛でながら、FF開幕の川に選んだ吉野川水系高見川へと車を走らせた。
ここ高見川は渓が開けていて水深も浅く、解禁初期からドライフライへの反応がいい。
年とともに初釣行前夜の胸を焦がすようなトキメキはなくなってしまったが、それでも川が近づくにつれ、頭の中でキャスティングしている自分に気がつく。

8時に待ち合わせ場所である『ふるさと村』に到着すると、NA氏が既に気合い充分の臨戦態勢で待ち受けていた。
風はほとんどないが、雨がポツポツ落ちてきてちょっと肌寒いコンディション。
入漁券を購入し準備をしている間に、NA氏がすでに橋下の渕尻で初物の小アマゴをキャッチし、デジカメに収めていた。
さすがに高見川一筋に年間20日程通い続けるだけあって、ポイントを知り尽くしている。

ひとまず1kmほど下流へ歩いたところから入渓することにした。
水温は7℃、水量としてはかなり減水気味でハッチはない。
すこし流れの緩いところを流すと、早速元気なアマゴが顔を見せてくれた。
しかし、半年振りのなまくらフッキングで一瞬合わせが遅れ、空振り。
その後4-5回反応があり、さあこれからというところの核心部をテンカラ師に入られて、結局午前中はノーフィッシュ。
魚が餌を食べるのがヘタなのか、釣り人の腕がヘタなのか・・・?

午後になり、ようやくクロマダラが飛び出した。
上流部の民家が途切れたあたりから入渓。
最初のポイントでようやく今年のファーストフィッシュにめぐり逢えた。
17cmほどの放流アマゴ。
この頃から雨らしい雨が降ってきた。
その後15cmと20cmを追加したところでまたもや先行者と出くわした。

最後に支流の麦谷に入り、20cm位のバラシが1匹。
腕を上げた高見仙人は、小アマゴばかりを6匹キャッチとのこと。
“小アマゴは出てもフッキングさせない”という名人の境地に至るには、まだ少し時間がかかりそうである。(人のことは言えないが!)
初鳴きのウグイスも我われ同様まだ本調子が出ていない様子。
帰る頃には雨も本降りになって、山がうす紫色に煙っていた。(O)