8月の濡れた身体

8月に入り立秋を間近に迎えた6日の土曜日、アマゴは水温も上がり厳しい状況が予測されたので、ここはひとつ鮎釣りにでも挑戦してみようとF氏に声をかけたところ、待ってましたと色よい返事が返ってきました。
『フライフィッシングに魅せられて』というこのブログのテーマからは外れてしまうのですが、渓流釣りには変わりないわけだし・・・などと無理っぽいこじつけで自分の気持ちを納得させます。
6時に葛川沿いのいつもの広場で待ち合わせ、F氏の車に荷物を積み込み、いざ出発です。
道中、先週の西穂高登山や蒲田川での鮎釣り、フライフィッシングでの釣果など詳細に報告を受けます。
ブログには書かれてませんでしたが、鮎釣りでは30匹くらい釣り、ホテルで同宿している皆さんにも塩焼きが配られ、大いに喜ばれたそうです。
蒲田川といえば富山湾に注ぐ神通川の支流である高原川の支流にあたり、奥飛騨温泉郷から流れ出る温水の影響で3月解禁当初からドライフライで尺物が高確率に狙える・・我われフライフィッシャー憧れの川です。
さて、話が盛り上がっているあいだにT川に到着しました。
そして、川を見て唖然・・・!
なんと濁っています。5-6人の鮎釣り師達が川を見ながらどうしたものかと思案顔で頭を寄せ合っています。
今晩のおかずに鮎の塩焼きをと、想いをめぐらせながらはるばるやって来たのに・・・。
T川って本当につれない(釣れない?)川です。
仕方が無いので、気持ちをフライフィッシングに切り替えて支流の奥川並川を目指すことにしました。
しかし、もともとアマゴをあきらめて鮎を求めてきただけに、頭の中が何となく釈然としません。
それでも林道のでこぼこ道を車は走ります。
途中、倒木が道をふさいでいたので、除けようとすると下にマムシが居ました。(危ない危ない)
入渓流地点は、先々週の大暑の日にN氏と入ったところです。
水量はいくぶん少なめで、水温は18℃もあります。
案の定、魚たちは警戒心バリバリで、時々チビアマゴが毛鉤にじゃれ付いてくるもののフックアップしません。
そうこうするうちに、恰好の瀬肩でF氏が22-23cmのアマゴをかけましたが、残念ながらバレてしまいました。
私のファーストヒットは絶好の深瀬での10cmの赤ちゃんアマゴです。16番のエルクヘアカディスを口一杯に頬張って飛んできました。

IMG_050806-2
いつもながら流麗なキャスティングのF氏です

その後、大淵の手前でヤマカガシが川を泳いで横切っていきました。とにかく蛇の多い川です。
そして、その大淵の上で、今度は体調2m、太さが5cmくらいある青大将に遭遇しました。奥川並川の主かもしれません。
F氏がいたずら半分で落ちていた木の枝で突付くと、あわてて崖を這い上がっていきました。
蛇の崇りは恐ろしいと昔からいいますが、その直後にF氏が岩にすねをぶつけて転倒してしまいました。幸い岸側に転倒したので服を濡らすこともなく、軽傷で済みました。
お昼過ぎになり、車止めまで釣り上がったところで昼食タイムとしました。
鬼ヤンマが悠然と飛び交い、ヒグラシが大合唱しています。
夏休みになるとトンボや蝉を追いかけていた、忘れかけていた少年の日々を想い起こします。
そして、食事のあとの昼寝をむさぼり始めたころ、空が急に暗くなり雨が落ちてきました。
慌てて後片付けをして車の中に逃げ込んだ途端、強烈な稲光とともに夕立が襲ってきました。
それこそ、バケツをひっくり返したようなといった豪雨です。
林道が土砂崩れで通行不能になるかもしれないと判断し、川のようになったでこぼこ道をゆっくりと下ります。
中ほどまで下ったところで雨が小止みになり、そこでしばらく様子を見ることにしました。
上から川を見ると、少し増水して濁りが出ていますが、まだ何とか釣りになりそうです。

P1000193
遠雷が聞こえる中、意を決して川に降りました。
釣り始めてしばらくして、F氏が18cmのアマゴを釣り上げました。
しかし、濁りが益々きつくなり、水量もどんどん激しさを増していきます。
濁りで川の中が見えないため恐る恐る遡行していくなかで、信頼できると思って掴んだ大きな石が水流に押されてひっくり返ってしまいました。
そのせいで私はあえなく仰向けに撃沈してしまうことに・・・!。
もちろん全身びしょ濡れ状態です。
再び雨も降り出し、釣りができる状態ではなくなったところで、崖を這い上がりました。
カラカラ~♪とヒグラシに笑われながら車に戻る途中、やっぱり、夏は標高の高いところでのイワナ釣りだと改めて実感しました。
それに何より、崇りの恐ろしさを思い知った何とも不可解な一日でした。(O)

滋賀
爽快渓流フライフィッシングに魅せられて