T川惨釣記

桜の季節が終わりを告げ、それを待ちかねたように季節の花が一斉に咲き乱れる。
まさに百花繚乱といった感の4月29日、今季初のT川お試し釣行。
先週、F氏の偵察釣行記で、今年はもういけるという感触を得て気合いは充分。
例年なら今時分は雪代による増水で、ドライフライでは全く歯が立たない。
暖冬というのは有難いが、反面早期の釣り荒れが懸念されるところでもある。

今回のお相手は、私とはロートル(老獪?)コンビのNO氏。
安曇川で食い気満々の放流魚相手に腕慣らしは充分済んでいるが、T川のネイティブ達を相手にどこまで通用するかが問題である。
道中の話題はと言えば、体調と老後の話ばかり・・・。(あーヤダヤダ!)
二人とも朝早いのには自信があり、早朝6時には最上流部のN集落に到着していた。

放射冷却による冷え込みで気温は4℃、ハッチは当然のごとく全く見られない。
前日T川を釣って今日はU川に向かっているF氏から“上流部は全く無反応で、中流部で先行者がなければ何とか・・・”といった出鼻をくじくメールが届く。
F氏の忠告よろしく中流部の昨年鮎釣りをしたポイントまで移動し、川面に日が差し込むまで朝寝でもしながらとりあえず待つことにした。

陽射しが強くなりハッチもちらほら見かけだした9時頃、意を決して川に降りた。
水温7℃、流れの少し緩い部分を丹念にトレースするが、全く反応がない。
少しでも水温の高い所へということで、さらに下流部のNダム建設予定地まで移動するがここでも全く反応無し。
今日は日曜ということもあり、餌釣師がやたら多い。
こういう日は午後からが勝負と早めの昼飯を決め込んだ。

お決まりの昼寝の後、朝一番に入ったポイントの続きをやることに・・・。
ここでようやくNO氏に反応があったが空振り、私にも18cm位が見に来た。

roshi-1

少し魚の活性が上がってきたようで、ハッチも多く時折ライズも見られる。
ここで思い切って場所を移動し、青い橋の上流部へ行くことにした。
橋の下の上流部で25cm位が何度かフライを見に来て、銜える寸前まで行ったが結局見切られてしまい依然としてまだノーフィッシュ。
その後NO氏にも何度か反応があり、少し進んだ深瀬でようやく私にヒット。
流勢に乗って2番ロッドを絞り込んだのは23cmのよく肥えたイワナだった。

20070430124500

ようやく1匹キャッチでき、今日はもうこれで満足といった気分で川原を歩いていると、青い鳥が横切っていった。
『幸せを運ぶ青い鳥』、正体はカワセミだった。

kawasemii3

盛んにライズしている渕の枝に止まって、アマゴを狙っているようだ。
すぐに、まだ結果の出ていないNO氏に声をかけトライしてもらったが、セレクティブなアマゴ達をその気にさせることは出来なかった。

そうこうしていると今度は黄色い鳥が前方で尾を振っている。

kisekirei3

キセキレイだ、『幸せを逃がす黄色い鳥』かどうかは知らないが、シグナルが青から黄色に変わっているということは、あまり良くない兆候に違いない。
この先、赤い鳥が来ないうちに早くNO氏に釣ってもらわねば・・・。

幸い、本日最後と決めていたコンクリ護岸ポイントでライズを見つけた。
慎重にキャスティングを重ね、終了間際になんとかNO氏にヒットしたのは22cm程の朱点の鮮やかなベッピンアマゴ。

amago22

薄暗くなった川の流れの中で、NO氏の顔がようやくほころんだ。

二人共ほとんど惨敗に近い釣果だったが、顔を見れただけでも良しとしなければ。
魚が釣れない時は、バードウォッチングに切り替えるというのも有りかも・・・?
今シーズンの不漁を予感させるようなT川試釣だったが、草や木がもっと伸びて簡単に入渓できなくなるまで、魚たちが残ってくれることを祈るのみである(O)