リセット

人は痛みや苦しみというものによって生命の危機を事前に感知し危機を乗り越えて繁栄を謳歌してきたのであろうと推測する。 反面、いつまでもその危機感というものを持続し続けていると緊張が自身の対応能力の許容範囲を超えてしまい、逆効果を生み出し自らその生命の持続を諦めてしまいかねない危険性をもはらんでいるのだということを自覚し、忘却という都合のいいものを準備しているのである。 手取川へ再び、パートナーはN氏である。 SNM取水堰堤より4:00入渓、朝一の視力はティペットを結ぶにもフライを結ぶにもあまりにも衰退しすぎた二人がなんでこんなにも早くから入渓してしまったかというのを分かり易く書くと長くなるので簡単に言ってしまうと、幸運にも一番乗りしてしまったが夜明けを待つ間に二番組到着、2時間歩くので先に入っていいかと相談されOKしたが、3番組まで来られるとどうにもならないので早々に入渓したのである。 入渓から暫くの間見えないフライに苦労し、かなりの勢いでスプラッシュがあったり全く見失ったフライにポンと出たイワナを焦点の隅で気づいて大合わせをくれるがドラグがかかっているのは必至、合うはずがない。 最初の...
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不完全燃焼

SNM川を狙っていた。 今週から北海道渓流10日間の旅に出たH氏、多分金曜に出し抜いているN氏ともにお誘いのあるはずがない。 SNM行くか…一人で… ふと思い付いたことが完璧に裏目に出た。 以前より渓流に行きたいといっていた可愛い子ちゃん(といっても三十路を過ぎているが…)に行くか?とメール入れると即効行くという返事。 一応、夜中に出て寝ずの釣りやとか、クマもいるとか、様々に脅しておいて予防線をはっておく。 それでも行く?…行く!ということで爽快渓流初の女性アングラー登場かと意気込んだ。 U川あたりが最良かと思ったが、どうも最近の実績は谷のみと渓流初めての女性には厳しいコース取りになるのは必至、SNMにも行きたいし… SNMに一番乗り出来れば何とか1~2尾くらいは、谷上がりにさほど厳しいところもないし。 11:30に待ち合わせ、ひたすら走るのみ。共通の話題もすぐに底を尽き車内の会話も途切れ途切れ、都合よくぐっすりおやすみになってくれた。 途中食料の仕入れがてらトイレ、サービスエリアでトイレ…この時点で気が付くべきだったかなぁ、トイレ。 SNM林道でキャーキャー言うもののどちらかというと...
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北陸DEBUT

昨年末からキャス練、管釣りとDebutに向けて準備してきたW氏、今期に入り短い準備期間でDebutしたT氏、両氏はともにホームT川、高島I川K谷と渓流Debut以来未だ「ぼ」の字がないという。 今回はog氏が精進中のためN氏と連れ立って北陸イワナDebutである。 現地合流4:00ということでいつものようにギリギリに出発した私は道中稀に見る快走に恵まれ3:30には到着してしまった。早めに出て現地で仮眠するといっていたN氏一行に合流して起こすにもまだ早すぎるし、私も仮眠をというには時間がなさ過ぎるという中途半端なタイミングであったので本流を上流域まで走ってみて入渓待ち状況をチェックしてみた。 思いのほか本流筋に入渓待ちの車は少なく好きな場所を確保できそうであった。集合場所へ着いたのが丁度4:00、N氏一行は熟睡中のようで窓ガラスが曇っている。小用を済まし、一服して彼らが起きるまで横になって待とうと座席を倒して程なくN氏の車のドアが開いた。 N氏W氏は前回良かった取水堰堤上下流、私とT氏は本流の取水堰堤上流域へと別れて入渓、朝一は谷か本流か北陸イワナDebutのW,T氏の運命の分かれ道!!...
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鹿害

鹿や猿や猪、野鳥が増えすぎて作物が荒らされると聞き始めて随分経つが、大変だなという思いはあっても自分自身がさして被害を被っていなかったので差し迫って対策を望むという事もなかった。 このような動物の出没地域で生活していない人達はほとんどがそんな感覚ではなかろうか。 種の繁栄という生物発生以来の意識せざる企みによるものなのだろうから増えすぎた動物に何の罪もない。ヒトという天敵の繁栄の過程により発生した事象であり、人間社会に不利益であるヒト側から見た観測に過ぎない。 残念ながらこのような哲学を深々と書き綴る知識もなければ想像力もないが、釣りの哲学ならば…いや思い込みなら人並みには持っているのだが。 さて、難しい哲学などはさておいて、ここ最近鹿の被害という釣り師たちの体験談をよく耳にするようになった。いっぱしの釣り師であれば夜討ち朝駆けは一般常識、深夜に釣り場へ突っ走るのは不可欠な事なのである。 釣り場へ通じる道というのは先に述べた動物たちの活動圏内にある。で、よく耳にするというのは鹿をはねたという話。随分以前からカモシカにぶつけたとか猪を轢いたとかいう話はあったが、こうも頻繁に、また身近にこ...
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スギナの効用

前々日に久しぶりに訪れた大先輩宅で出された冷茶がまずかった。聞くとスギナを煎じたものだと言う。 この先輩はサプリメントが大好きで、まぁ色々と飲んでいるようだが見たところ成人病になりやすい体型そのものというのが以前から全く変わらないのでその効果は見た通りだと思うのだが… で、先輩、思いついたように渓流行ったらスギナいっぱいあるやろ採ってきて!とゴミ袋を5つもくれた。 スギナなんてあんまり見ませんよとめんどくさいのとそんなん採ってたら釣りが出来ないのでやんわり断ったつもりだったが、すかさず先輩、ツクシはいっぱい出てたやろ?と聞いてくる。はぁまぁねぇと答えた時点でアウト、「なら絶対スギナはいっぱいある筈やから心配いらん。」相変わらず前向きな人である。 スギナはどうか分かりませんけどワサビならいっぱいありますから採ってきますわ、根は貧弱であきませんけど茎と葉は立派なのがいっぱいありますから二杯酢に漬けたらピリッと辛くて美味いワサビ漬けが出来ますよとワサビに変えてもらおうと思ったら、ワサビの葉のキムチの美味しいの作ってやるからスギナも頼むわと結局両方採ってこなければならない羽目になってしまった。...
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今年もU川は大繁盛

エクステンドクイル試作品の評価はT川のアマゴでと思っていたが、同行するN氏から前日連絡が入りT川は夜半から雨の予報が出ているので雨の降り出しが午後からになるU川に行き先変更となった。 難度の低いイワナから評価していくのも順当、彼らのゆっくりとした出方を参考に問題点を抽出してみることにした。 朝一はやっぱりH湯下からということでこの区間が大好きなN氏の足取りは軽い。 川原へ降り立ってみるとかなりの低水量、夏場ならば即刻退散という水量だが水温10度のこの季節だし何とかなるだろう。 朝一浅場の溜まりでライズしているのは佃煮サイズのチビばかりなので浅場を捨てて水深のあるポイントを拾っていく。 砂地に刻まれる真新しい足跡は昨日のイブニングのものだろうが、それがさして気になる情報でもないというこのU川感覚はいったい何なのだろう… この時期のU川はもっと水量が多くなかっただろうか、そしてよく晴れた日など午後からの雪代で釣りにならなくなってしまうという季節ではなかったろうか。年々ここへ来るのが早くなっている。 水深のあるポイントでは確実に反応してくれる状況だがその出方はアマゴのよう、速い速い。 8時頃...
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近頃はFFも安・近・短

渓流釣りをするには最高のシーズンとなった。 暑くもなく寒くもなく、虫たちのハッチも多い・・・。 一歩山の中へ入るとハイキングや山菜取りの人たちの車も多く、早朝から林道の奥に止まっている車が釣りなのか山菜取りなのか分からず、入渓地点に迷うことがある。 GWも終わった5月9日、本来予定していたT川がこのところの雨で増水していると判断し、今回はこういう時の保険的な逃げ場の一つであるI川上流部へ行くことにした。 文字通りの『安・近・短』釣り場、同行はN老師とW、このところお決まりのメンバーである。 ここI川は水量もほどほどあり、何より谷が明るく開けていて平坦、魚も小粒ながら割合濃く、どちらかというと初心者向けといった感じ。 今回はまだ経験の浅いに、リーチキャスト、U字キャストなどのトリックキャストや、メンディングなどを練習してもらう意味もあった。 7時半に林道最奥のゲートに到着するとすでに車が2台、どの辺りまで先行しているのか確認する意味で鍵がかかってなかったゲートを開けて車を進めた。 ずっと奥の川が二股に分かれる辺りまで進んだが、この林道この先もっと進んで分水嶺を越えると日本海へ注ぐM川の上...
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前鬼川へ

ゴールデンウィークは奈良吉野、北山に限る。のではないか?… 渋滞なし、釣り人少ない、羽化が活発になり餌釣りには厳しいが毛鉤師には優しい。 少し奥に入ると渓谷が深いので家族連れのキャンパーや川遊びが居ない。 そんなことで気合さえ入っていれば、この季節楽しいフライフィッシングが楽しめる確立は高いのである。 H氏、S氏とGW釣行の打ち合わせは簡単に決まった。所用で1日遅れるS氏を待って前鬼をゆったりと楽しんだ。 私とH氏はS氏合流の前日、吉野北俣川で先に楽しませてもらうことにした。 大迫ダムで待ち合わせ、右岸ダム沿いの道を進み入之波温泉から左岸へ渡り暫く行くと北俣川と本沢(もとざ)川の分岐になる、左方向の橋を渡りバックウォーターを左岸から眺めながら北俣川へ入る。北俣筋のバックウォーターの浅場ではブラックバスがのっこんで居るようで派手な求愛行動があちこちで見られた。 券売り場で4~5台が先行していると聞いた、下流部の大場所や落差のあるポイントを避け(歩くのがしんどいので)上流部の堰堤上の入りやすいところから入る。 大型や数を期待しては居ない。私が巻いた毛鉤に私が気に入ったポイントから渓流の命が...
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T川、ドライ本格化

快晴に恵まれた4月18日、目指すは言わずと知れた湖北のT川。 先週訪れた老師の話によると小粒ながらドライへの反応が良かったとのこと。 そして今回は久しぶりにその老師と二人での釣行となった。 朝7時に下流部に到着、川の様子を見ながらそろそろと上流へ車を進めた。 例年ならこの季節、ドライフライでは全く歯が立たず、5月の連休明けくらいから本格化するところだが・・・。 今年の冬は雪が想像以上に少なかったことが影響して、良かったのやら悪かったのやら、複雑な心境である。 この時間だとまだ川に陽の光が射しているところが少なく、虫たちのハッチもほとんど見られないので最初に入るポイントの見極めが難しい。 相変わらず餌釣りとおぼしき名古屋や岐阜ナンバーの車が要所に止まっていて、改めてこの川の人気の高さがうかがえる。 8時過ぎになって中流部の開けた場所を見つけ川に降りた。 水温6度、水量はこの時期にしては少ないが、普段なら平水といったところ。 川に降りてすぐの淵では無反応だったが、そのすぐ上の瀬の弛みで老師にヒット。 18cmほどのアマゴだった。 まずは老師に1匹釣れて一安心、アマゴの活性は予想以上に高いよ...
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再びの東吉野、花見を兼ねて・・・

先週に引き続いて東吉野のT川、見頃となった桜見物も兼ねての釣行。 水況はこのところの好天続きでかなりの渇水、水温も10℃ある。 こうなると餌釣りでは厳しいようで本流には餌師とおぼしき釣人の影がない。 10時前にふるさと村へ到着すると既にN仙人が橋下のポイントを攻めていた。 今回はWと3人での釣行会、N老師は湖北のT川へ単独で出かけていた。 『小さいのが2匹釣れました・・・』と仙人が白い大きなマスクをして上がってきた。 ヒノキ科の花粉症が辛そうだ。 お昼までのポイント選びは迷うことなく実績のあるM谷へ。 が上流部、仙人が下流部へ入った。 最初に好ポイントを攻めていた仙人に良型がヒット、しかし残念ながら合わせ切れ。 合わせ切れ症候群がまだ完治していないようである・・・。 の方はというとトラブル処理にかなりの時間をかけている様子。 初心者が必ず通らなくてはならない険しい関門、どう克服するかが鍵となる。 結局この区間ではほとんど釣果もなくさらに上流部へ車で移動。 先ほどと同様にが上流部、仙人が下流部へ入ったが二人とも子アマゴを1匹ずつキャッチしたのみ、渇水でポイントが少なくなっている。 12時...
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