
紫色に輝くイワナ
今年の渓流シーズンが終了する間際、“あの紫色に輝くイワナに逢っておきたい”そんな思いに駆られ急遽引き寄せられるように出掛けたS川・・・。そういえばこの川で実際にロッドを振るのは初めてだったのである。大量の虻に襲われたり、大雨による増水に阻まれたり、あまりいい思い出がこの川にはなかった。真夜中の高速を疾走しS川の林道最奥に到着したのが夜明け前の5時半。無情にも1台の石川ナンバーがあり、既に車の中に人影は無かった。少し明るくなってきたので川の様子を見るとかなりの渇水である、というよりほとんど水が無い・・・。上流部で取水されているとはいえこれではちょっと・・・!堰堤を下流方向へ三つほどやり過ごしたあたりまで進むと、水量も少しマシになってきたので車を停め川をじっと見つめていると小さなライズを発見。少しやる気が出て200mほど下流へ歩いたあたりで川へ降りた。川面を抜けるひんやりした風がやさしく頬を撫で、逸る気持ちを静めてくれる。5-6投目に沈んだ岩の陰から勢いよく飛び出したイワナは、23cmくらいのよく肥えたアベレージサイズだが、確かに背中が薄紫色を帯びている。そしてここのイワナは体長のわりに体...