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寒狭川、傷心未だ癒えず

緑がまぶしい季節、渓魚たちにとって一年の内で最も活性が上がる時期である。メイフライ、スーパーハッチ・・・、我われフライマンにとっても最も胸キュンとなる季節でもある。帰省を兼ねたリベンジ釣行は、昨年同様の愛知県東部を流れる寒狭川。2月1日解禁で、成魚放流主体の川である。標高も低く川原が開けているため水温が上がりやすく、どちらかというと鮎釣りの方に分がありそう。朝7時に現地到着、しかし入漁券売り場の店がまだ閉まっている。30分ほど待つとようやく店が開いたので、最近の状況を確認した。今年は早期より釣り荒れていて、もう魚はほとんど残っていないだろうとのこと。暖冬を考慮して、もっと北部の川を選択すべきだったと思ったがもう遅い。気を取り直して、まずは下流部にあるキャッチアンドリリース区間に入った。大きなプールと瀬が交互に続くエリアだが、ルアーで狙う方が有利なポイントだ。水温は14℃もあり、あまり期待もせずに瀬のえぐれを中心にタタキ上がった。その時、明らかに油断していた!27-8cm、いや尺を超えていたかも・・・?いきなり瀬を割るように飛び出した大きなアマゴの背中が見えたが、ドラグがかかったフライの...
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T川惨釣記

桜の季節が終わりを告げ、それを待ちかねたように季節の花が一斉に咲き乱れる。まさに百花繚乱といった感の4月29日、今季初のT川お試し釣行。先週、F氏の偵察釣行記で、今年はもういけるという感触を得て気合いは充分。例年なら今時分は雪代による増水で、ドライフライでは全く歯が立たない。暖冬というのは有難いが、反面早期の釣り荒れが懸念されるところでもある。今回のお相手は、私とはロートル(老獪?)コンビのNO氏。安曇川で食い気満々の放流魚相手に腕慣らしは充分済んでいるが、T川のネイティブ達を相手にどこまで通用するかが問題である。道中の話題はと言えば、体調と老後の話ばかり・・・。(あーヤダヤダ!)二人とも朝早いのには自信があり、早朝6時には最上流部のN集落に到着していた。放射冷却による冷え込みで気温は4℃、ハッチは当然のごとく全く見られない。前日T川を釣って今日はU川に向かっているF氏から“上流部は全く無反応で、中流部で先行者がなければ何とか・・・”といった出鼻をくじくメールが届く。F氏の忠告よろしく中流部の昨年鮎釣りをしたポイントまで移動し、川面に日が差し込むまで朝寝でもしながらとりあえず待つことに...
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必釣!ジャイロキャスト・・・?

京都府・滋賀県・福井県の県境にある三国岳に源を発し、若狭湾へ注ぐ由良川は京都府北部を動脈のように流れる銘川である。春には鮎が遡上し、秋には鮭が上る川としても知られ、最上流部は京大の演習林として入山が規制されている。今回、訪れたのはその中流部にある支流の上和知川。和知川漁協の管轄でアマゴが成魚放流されており、最上流部には『アマゴの里』という私設の放流釣り場がある。この川の情報提供者であるK君の情報によると、“水温の上がらない5月の連休までならそこそこ釣れますよ!”とのこと。また、あるショップのT店長が行けば20匹は釣ってくるという裏情報も・・・?桜も散りはじめた4月14日、気軽な単独釣行は“まあ、顔が見れたらいいか・・・”といったのんびり気分で家を出たが、風がやたら強いのが気になる。国道27号線から分かれて7km程入ったところにある『ウッディパルわち』というキャンプ場に到着したのが9時半。最上流部にある『アマゴの里』の手前まで一通り川を見てきたが、全体的に川幅もなく落差もない里川で、舗装された道路や民家が近くにあり、正直言ってロケーションとしては・・・?という感じ。入漁券を取り扱っている...
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2007年FF開幕

『願わくは花の下にて春死なん・・・』と西行が詠んだ如月の望月の頃はもう過ぎてしまったが、奈良公園から吉野山へ続く国道169号線は桜の名所が随所にある。そこ、ここで咲き競う花を愛でながら、FF開幕の川に選んだ吉野川水系高見川へと車を走らせた。ここ高見川は渓が開けていて水深も浅く、解禁初期からドライフライへの反応がいい。年とともに初釣行前夜の胸を焦がすようなトキメキはなくなってしまったが、それでも川が近づくにつれ、頭の中でキャスティングしている自分に気がつく。8時に待ち合わせ場所である『ふるさと村』に到着すると、NA氏が既に気合い充分の臨戦態勢で待ち受けていた。風はほとんどないが、雨がポツポツ落ちてきてちょっと肌寒いコンディション。入漁券を購入し準備をしている間に、NA氏がすでに橋下の渕尻で初物の小アマゴをキャッチし、デジカメに収めていた。さすがに高見川一筋に年間20日程通い続けるだけあって、ポイントを知り尽くしている。ひとまず1kmほど下流へ歩いたところから入渓することにした。水温は7℃、水量としてはかなり減水気味でハッチはない。すこし流れの緩いところを流すと、早速元気なアマゴが顔を見せ...
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打波川の実力パート2

“釣場は百台の車にして 行きかう人も又釣り人也” 『打波の細道』より・・・。『Fly Rodders』9月号にて、読者が選ぶ日本100名川の一つに取り上げられ、“アベレージは22cm前後だが、大場所では尺を越える魚が釣れる”と紹介されてからの打波川は、平日でも釣り人が絶えず押しかけてくる超有名河川になってしまったようです。品川ナンバーを始め、姫路、神戸、大阪、なにわ、和泉、滋賀、京都(我々以外に3台)、福井、石川、岐阜、名古屋、尾張小牧などなど・・・。また、フライショップの間でも“打波は回復しているようですね”などといった噂が巷に流れ、ベテランから、初心者まで人、人、人が溢れかえっています。特に鳩ヶ湯温泉前後のA級ポイントは休日ともなると、朝から晩まで、常に誰かが入渓しているといった状況です。女性アングラーも3人ほど見かけ、釣り場に華があってよろしいのですが・・・!秋分の日が間近に迫った9月17日、今年2回目の釣行会を打波川で実施しました。当初は、6人集まって盛大に盛り上がるはずでしたが、諸事情により一人欠け、二人欠け、最終的には3人となり、いささか寂しい釣行会となりました。夜中に北陸...
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ぶらり信州フライ旅

“千曲川”センチメンタルでノスタルジックな響き・・・。藤村が愛し、日本人の心の故郷を流れる川。甲斐(山梨)武蔵(埼玉)信濃(長野)の三国にまたがる甲武信岳(こぶしだけ)に源を発し、北アルプスを代表する名峰槍ヶ岳からの清冽な水を合わせて長野県を流れ、新潟県に入って“信濃川”と名前を変える日本一長い川である。流域には、武田信玄と上杉謙信が戦った川中島や、真田幸村の居城だった上田城などがあり、歴史ロマンに溢れた名所が随所にある。爽渓会(?)秋の釣行会だが、今回は思い切って信州まで足を延ばすことになった。毎年U川ばかりでは芸が無く、今回訳あって高級リゾートホテル“エクシブ蓼科”を予約できたことが一番の理由である。いつも宿泊は、テントや車の中だが、今回はゴージャスな釣行会となった。参加メンバーは、最終的に私とF氏、H氏のツワモノ三人集・・・?集合は9月15日深夜12時、夜を徹しての走行である。頼りにしていたナビゲーター役が参加できなくなったため、カーナビに案内を任せ、諏訪ICを通り越し小淵沢ICで降り、八ヶ岳高原ラインを通って山梨県に入り、清里を経由するルートで、夜も明けきった6時過ぎに川上村に...
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天竜川釣行記

長野県諏訪湖を水源とし、静岡県遠州灘に注ぐ天竜川は、中央アルプスと南アルプスの間を流れる流程216kmと我が国有数の大河である。無数の支流を抱え、本流では天竜差しという40cmを超えるアマゴが釣れるらしい。また、南アルプス3,000m級の名峰群から流れ出す左岸の谷は、真夏でも水温が低く、多くのイワナが潜んでいる。お盆休みに帰省し、”ついでにちょっとイワナでも”と出かけた天竜川水系だったが・・。8月12日PM3:00、木曽駒ケ岳から一気に天竜川右岸に注ぐ太田切川に到着した。この川にはキャッチ&リリース区間が設けられており、中流部ではアマゴ、上流部ではイワナが釣れるとの情報を得てまず臨んだ次第。どうもC&Rという文字に弱い。釣り荒れせず、そこそこの魚影が確認できるという安心感に惑わされてしまう・・・?コンビニで入川券を購入し、急いで川を目指すが、入渓地点が判らない。川沿いには道がなく、木曽駒ケ岳登山のロープウェイの基地となっているため、観光地化しており、ホテルやペンション、キャンプ場等が乱立している。さらに、やっと見つけた中流部入渓地点もキャンパーやファミリーの遊び場となっていて、大型が潜...
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T川、増水未だ収まらず

3週間ぶりのT川である。末期に入った梅雨前線が日本列島の各地を暴れ回って、先週など大増水した川や崩落した林道を想像するあまり、どこへも行く気になれなかった。それまでは渇水を嘆いていたのだが、天の恵みもほどほどに・・・という訳には中々いかないようである。ようやく晴れ間の続いた7月29日、満を持して出かけることにした。朝5時半に到着すると、たっぷりと雨水を飲み込んで、まだ水かさの高いT川が迎えてくれた。幸いなことに濁りはないが、小雨模様の天候は、雨量の増加とともにミルクコーヒー色へと変貌する危険をはらんでいる。今回の同行は、2週間前に単独でこのT川に来たものの大増水と濁りであえなく退散させられたNO氏。二人とも気合いは充分、水温は15℃でこの時期にしては文句の無いところ、意気込んで押しの強い流れの中に立ち向かっていった。いつものA級ポイントは水勢が強すぎるし、B、C級ポイントは魚影が薄いし、と苦労しながら進むうち、ようやく1尾目にめぐり逢えた。23cm、いつもの幅広美形アマゴだが、ゆっくり見とれている暇はない。だんだん雨が強くなってきたのだ。次のポイントでヒットしたのは25cm、久しぶりに...
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T川、尺アマゴ見参

下界のうだるような暑さから逃避して、今週も出かけたT川上流部は、標高500mの位置にある。日陰にいると暑さを感じないし、川面を流れる風はとても心地いい。8月5日、早朝5時半、ようやく平水に戻った流れの中にF氏と立っていた。今回は、朝一と夕まずめをフライ、昼間は鮎釣りに興じようという魂胆である。クラシカルなフライマン達からは、“それは、邪道だろっ!”と突っ込まれそうだが、“まあどちらもオトリを使っておびき寄せて釣る”というところは同じだし、釣れる魚も同じアブラビレ属だし、それに何より昼間は釣れないし・・・。“そろそろ大型が釣れても・・・”、何となくそんな予感がしていた。水温15.5℃、適水量、濃い朝霧、そして無風状態とくれば、この時期にしてこれ以上ない最高のシチュエイションがそろっていた。いつもの入渓ポイント、大型が潜む一級ポイントを師であるF氏にお願いして、後方から流れるようなキャスティングを見ていた。何投目かのその時、緑色のSAGEロッドが大きく円を描いていた。ロッドのしなり具合からして、かなりの大型らしい。あわてて駆け寄ると、“尺あるでっ!”とひとこと、いつもながら冷静である。何故...
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T川、セレブとの出逢いを求めて

この季節、ここT川ではトビゲラの羽化が激しさを増す。魚への反応がいいフライとしては、カゲロウパターンより、もうカディスの方に部があると思うのだが、何故かいつもパラシュートを選んでしまう。3週連続となったT川、今回は、気ままな単独釣行となった。せっかくの好期を独り占めしては申し訳ないので、“今が絶好の時ですよ”と、シグナルを送ってみたが、皆さんそれぞれにお忙しいようで・・・。当初2日前に降った雨による増水を懸念していたが、たかだか30mmほどの雨では、ほんのお湿り程度の影響しかなく、逆に先週より減水している模様。朝8時に先週と同じポイントに入渓、定点観測の意味もある。水温13.5℃、先週より1℃上昇している。最初に入った渕でいきなりライズを発見。渕に張り出した木の下あたりを飛び交うガガンボを捕食しているようだ。ガガンボならおまかせ・・・で、いつものQBP16番をそっとプレゼン。一投目でいきなりヒットしたのは、20cmのアマゴだった。2匹目は、ここ最近のアベレージサイズである23cmのアマゴ。水温が上がったせいで、今日は魚が瀬に出ている。久しぶりにイワナが釣れた。23cmのよく肥えたイワナ...
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