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U川、男達の集い

瑞穂町からやってきたH氏は、鮭釣りにも挑戦する、熱血のフライマンである。奈良県御所市から初参加したN氏は、夢の尺イワナへと思い入れが人一倍強い。池田市から参加のM氏は、ロッドより少年野球でバットを振る方が多いようだ。京都市から駆けつけたF氏は、なまず釣りが忙しいらしく、少々お疲れ気味?そして城陽市から老体に鞭打ってはせ参じる私O、ユンケルが頼みの綱である。こうして各地から5人5様のそれぞれの思惑を持った老兵が集った今回の釣行会、早朝4時半にH温泉前に集合という、かなりの強行スケジュールにもかかわらず皆元気な姿を見せてくれた。久しぶりに合わせた顔と顔だが、何も言わなくても目と目が合えば自然に笑みがこぼれる『男達の集い』である。12時にいつものI谷上流部のテン場へ集合することだけを決め、それぞれ思い思いのポイントへ散って行った。今回、私とペアを組んだH氏と取水堰堤上流部の流れに降り立ったのが5時。次第に明るさを取り戻して行く光の中で、ススキの穂が揺れる川べりをそっと歩きながら、ゆっくりとラインを繰り出す・・・そうした時の流れに浸れる瞬間というのは、無上の悦びとなって全身を包んでくれる。水量...
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イブニングは無情の雨

夜来の雨と朝霧でしっとり濡れた川沿いの林道を進むと、透明感を失ったT川が褐色に染まった無残な姿を晒していた。“これくらいの濁りなら、何とかいけるで・・・”と、諦めきれないF氏の声もどこか弱々しい。試しに支流のO川出合いまで様子を見に行くが、濁りの色を濃くするばかりで、“やっぱり駄目か・・・!”と、ため息が漏れてしまう。“こういう時は、あそこしかないか・・・”と、急ぎ車をUターンさせ、濁りの原因となっている上流部の支流より上に入ることにした。雨は止んでいるから、午後にはこの濁りも回復するだろうという読みもある。ここ最上流部は笹濁り程度で、何とかドライフライで挑戦できる色合いだった。先週あたりからカディスが多く飛び交っていて、EHC16番を使っていた私に早々にヒットしたのは、20cmのアマゴ。心なしか先週よりボリューム感がある気がするのは、思い入れの強さだろうか?カディス(トビゲラ)の帯が川面を覆うのも近いストーン(カワゲラ)が空一面に飛翔しだすのはもう少し後だったかな?カディスの持ち合わせが少なかったF氏は、ウェットフライで果敢に挑戦。マーカーの変化を見逃さず、きっちりとアマゴを釣ってし...
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T川、尺の壁

“朝から支流のH川に入ったけんど、一匹も釣れんかった・・・、長いことこの川に通っとるんやが、こんな事は初めてや!!”と地元の老餌釣り師。“今年は、雪が少なかったけん、早くからようけ釣りに来とるで・・・、もう魚もほとんど残っとらんやろ・・・”と地元の山菜摂りのおじさん。活性の低さを予想して、少し遅めの朝9時に到着したとき、いつも必ず入る堰堤上流部には、既に釣師と思しき4台の車が停まっていた。仕方ないので、支流のH川下流部のコンクリ護岸ポイントからスタート。水温10℃、快晴微風の絶好のコンディション。誘惑に満ちたセクシーな流れにフライを乗せ、丹念にプレゼンしていくが全く反応がない。午後3時までぶっ通しでやって、かなりシビアなコンタクトが3回程あったのみで、結局ノーフィッシュに終わった。疲れ果てて車に戻る道すがら、出逢った二人の話を聞いて、やっぱりそうか・・・今年のT川が見えてきたような、少し哀しい気持ちになってしまった。ただ唯一の救いは、昼食休憩直前にNO氏のロッドを絞り込んだ28cmのアマゴ。残念ながら尺には少し足りなかったが、堂々たる風格を帯びた面構えは、T川セレブアマゴの称号を与えら...
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寒狭川、傷心未だ癒えず

緑がまぶしい季節、渓魚たちにとって一年の内で最も活性が上がる時期である。メイフライ、スーパーハッチ・・・、我われフライマンにとっても最も胸キュンとなる季節でもある。帰省を兼ねたリベンジ釣行は、昨年同様の愛知県東部を流れる寒狭川。2月1日解禁で、成魚放流主体の川である。標高も低く川原が開けているため水温が上がりやすく、どちらかというと鮎釣りの方に分がありそう。朝7時に現地到着、しかし入漁券売り場の店がまだ閉まっている。30分ほど待つとようやく店が開いたので、最近の状況を確認した。今年は早期より釣り荒れていて、もう魚はほとんど残っていないだろうとのこと。暖冬を考慮して、もっと北部の川を選択すべきだったと思ったがもう遅い。気を取り直して、まずは下流部にあるキャッチアンドリリース区間に入った。大きなプールと瀬が交互に続くエリアだが、ルアーで狙う方が有利なポイントだ。水温は14℃もあり、あまり期待もせずに瀬のえぐれを中心にタタキ上がった。その時、明らかに油断していた!27-8cm、いや尺を超えていたかも・・・?いきなり瀬を割るように飛び出した大きなアマゴの背中が見えたが、ドラグがかかったフライの...
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T川惨釣記

桜の季節が終わりを告げ、それを待ちかねたように季節の花が一斉に咲き乱れる。まさに百花繚乱といった感の4月29日、今季初のT川お試し釣行。先週、F氏の偵察釣行記で、今年はもういけるという感触を得て気合いは充分。例年なら今時分は雪代による増水で、ドライフライでは全く歯が立たない。暖冬というのは有難いが、反面早期の釣り荒れが懸念されるところでもある。今回のお相手は、私とはロートル(老獪?)コンビのNO氏。安曇川で食い気満々の放流魚相手に腕慣らしは充分済んでいるが、T川のネイティブ達を相手にどこまで通用するかが問題である。道中の話題はと言えば、体調と老後の話ばかり・・・。(あーヤダヤダ!)二人とも朝早いのには自信があり、早朝6時には最上流部のN集落に到着していた。放射冷却による冷え込みで気温は4℃、ハッチは当然のごとく全く見られない。前日T川を釣って今日はU川に向かっているF氏から“上流部は全く無反応で、中流部で先行者がなければ何とか・・・”といった出鼻をくじくメールが届く。F氏の忠告よろしく中流部の昨年鮎釣りをしたポイントまで移動し、川面に日が差し込むまで朝寝でもしながらとりあえず待つことに...
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必釣!ジャイロキャスト・・・?

京都府・滋賀県・福井県の県境にある三国岳に源を発し、若狭湾へ注ぐ由良川は京都府北部を動脈のように流れる銘川である。春には鮎が遡上し、秋には鮭が上る川としても知られ、最上流部は京大の演習林として入山が規制されている。今回、訪れたのはその中流部にある支流の上和知川。和知川漁協の管轄でアマゴが成魚放流されており、最上流部には『アマゴの里』という私設の放流釣り場がある。この川の情報提供者であるK君の情報によると、“水温の上がらない5月の連休までならそこそこ釣れますよ!”とのこと。また、あるショップのT店長が行けば20匹は釣ってくるという裏情報も・・・?桜も散りはじめた4月14日、気軽な単独釣行は“まあ、顔が見れたらいいか・・・”といったのんびり気分で家を出たが、風がやたら強いのが気になる。国道27号線から分かれて7km程入ったところにある『ウッディパルわち』というキャンプ場に到着したのが9時半。最上流部にある『アマゴの里』の手前まで一通り川を見てきたが、全体的に川幅もなく落差もない里川で、舗装された道路や民家が近くにあり、正直言ってロケーションとしては・・・?という感じ。入漁券を取り扱っている...
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2007年FF開幕

『願わくは花の下にて春死なん・・・』と西行が詠んだ如月の望月の頃はもう過ぎてしまったが、奈良公園から吉野山へ続く国道169号線は桜の名所が随所にある。そこ、ここで咲き競う花を愛でながら、FF開幕の川に選んだ吉野川水系高見川へと車を走らせた。ここ高見川は渓が開けていて水深も浅く、解禁初期からドライフライへの反応がいい。年とともに初釣行前夜の胸を焦がすようなトキメキはなくなってしまったが、それでも川が近づくにつれ、頭の中でキャスティングしている自分に気がつく。8時に待ち合わせ場所である『ふるさと村』に到着すると、NA氏が既に気合い充分の臨戦態勢で待ち受けていた。風はほとんどないが、雨がポツポツ落ちてきてちょっと肌寒いコンディション。入漁券を購入し準備をしている間に、NA氏がすでに橋下の渕尻で初物の小アマゴをキャッチし、デジカメに収めていた。さすがに高見川一筋に年間20日程通い続けるだけあって、ポイントを知り尽くしている。ひとまず1kmほど下流へ歩いたところから入渓することにした。水温は7℃、水量としてはかなり減水気味でハッチはない。すこし流れの緩いところを流すと、早速元気なアマゴが顔を見せ...
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打波川の実力パート2

“釣場は百台の車にして 行きかう人も又釣り人也” 『打波の細道』より・・・。『Fly Rodders』9月号にて、読者が選ぶ日本100名川の一つに取り上げられ、“アベレージは22cm前後だが、大場所では尺を越える魚が釣れる”と紹介されてからの打波川は、平日でも釣り人が絶えず押しかけてくる超有名河川になってしまったようです。品川ナンバーを始め、姫路、神戸、大阪、なにわ、和泉、滋賀、京都(我々以外に3台)、福井、石川、岐阜、名古屋、尾張小牧などなど・・・。また、フライショップの間でも“打波は回復しているようですね”などといった噂が巷に流れ、ベテランから、初心者まで人、人、人が溢れかえっています。特に鳩ヶ湯温泉前後のA級ポイントは休日ともなると、朝から晩まで、常に誰かが入渓しているといった状況です。女性アングラーも3人ほど見かけ、釣り場に華があってよろしいのですが・・・!秋分の日が間近に迫った9月17日、今年2回目の釣行会を打波川で実施しました。当初は、6人集まって盛大に盛り上がるはずでしたが、諸事情により一人欠け、二人欠け、最終的には3人となり、いささか寂しい釣行会となりました。夜中に北陸...
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ぶらり信州フライ旅

“千曲川”センチメンタルでノスタルジックな響き・・・。藤村が愛し、日本人の心の故郷を流れる川。甲斐(山梨)武蔵(埼玉)信濃(長野)の三国にまたがる甲武信岳(こぶしだけ)に源を発し、北アルプスを代表する名峰槍ヶ岳からの清冽な水を合わせて長野県を流れ、新潟県に入って“信濃川”と名前を変える日本一長い川である。流域には、武田信玄と上杉謙信が戦った川中島や、真田幸村の居城だった上田城などがあり、歴史ロマンに溢れた名所が随所にある。爽渓会(?)秋の釣行会だが、今回は思い切って信州まで足を延ばすことになった。毎年U川ばかりでは芸が無く、今回訳あって高級リゾートホテル“エクシブ蓼科”を予約できたことが一番の理由である。いつも宿泊は、テントや車の中だが、今回はゴージャスな釣行会となった。参加メンバーは、最終的に私とF氏、H氏のツワモノ三人集・・・?集合は9月15日深夜12時、夜を徹しての走行である。頼りにしていたナビゲーター役が参加できなくなったため、カーナビに案内を任せ、諏訪ICを通り越し小淵沢ICで降り、八ヶ岳高原ラインを通って山梨県に入り、清里を経由するルートで、夜も明けきった6時過ぎに川上村に...
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天竜川釣行記

長野県諏訪湖を水源とし、静岡県遠州灘に注ぐ天竜川は、中央アルプスと南アルプスの間を流れる流程216kmと我が国有数の大河である。無数の支流を抱え、本流では天竜差しという40cmを超えるアマゴが釣れるらしい。また、南アルプス3,000m級の名峰群から流れ出す左岸の谷は、真夏でも水温が低く、多くのイワナが潜んでいる。お盆休みに帰省し、”ついでにちょっとイワナでも”と出かけた天竜川水系だったが・・。8月12日PM3:00、木曽駒ケ岳から一気に天竜川右岸に注ぐ太田切川に到着した。この川にはキャッチ&リリース区間が設けられており、中流部ではアマゴ、上流部ではイワナが釣れるとの情報を得てまず臨んだ次第。どうもC&Rという文字に弱い。釣り荒れせず、そこそこの魚影が確認できるという安心感に惑わされてしまう・・・?コンビニで入川券を購入し、急いで川を目指すが、入渓地点が判らない。川沿いには道がなく、木曽駒ケ岳登山のロープウェイの基地となっているため、観光地化しており、ホテルやペンション、キャンプ場等が乱立している。さらに、やっと見つけた中流部入渓地点もキャンパーやファミリーの遊び場となっていて、大型が潜...
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