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T川 忘れ物を探しに・・・

T川と最初に出逢ったのは、もう15年くらい前になります。 まだ寺町二条にあった頃の『プロショップ ゼロ』に居たスタッフの一人に、“幅広の綺麗なアマゴが釣れる川が在りますよ”と、教えられたのです。 その頃の私は、F氏から教わったテンカラ釣りにハマッており、そのためのフックやマテリアル等を購入したり、情報収集のために時折『ゼロ』を訪れていました。 そこで、いつも魅せられてしまうのが、ガラスのカウンターの上に置いてあった、素晴らしい魚体の“T川アマゴ”の写真でした。 早速F氏とT川釣行が決まり、中流部の田戸地区にある最大支流の奥川並川へ入り、そのときは何故か餌釣りでしたが、上流部の細くなった深瀬で、25cmを超える見事な魚体のアマゴに出逢ったのでした。 それ以来毎年のように、数多くの25cmを越える“T川アマゴ”との出逢いがありました。 渓流釣りをする者にとって、尺を超えるサイズを釣るというのはひとつの憧れですが、25cmというのは、釣果としてある程度の満足感を得られる(決勝進出?)サイズです。 特に、T川で釣れる25cm以上の“高時アマゴ”はヒレピンでグラマーときていますから、掛けたあと強...
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揖斐川水系坂内川

標高1,209mの三国岳は、その名前の由来の通り、ちょうど滋賀県と福井県と岐阜県の県境にあります。 その三国岳のすぐ傍にあり、龍神伝説で有名なのが『夜叉ヶ池』です。 昔、ある年大変な日照りが続き、困り果てた村の名主が、乾ききった田んぼで出逢った小さな蛇に向かって、「お前が雨を降らせてくれたなら、どんな願いもかなえよう」と一人ごとを言って家へ帰りました。 すると、待ちに待った雨が一日中降り出し、田んぼにたっぷりと水がたまり、農作物はみんな生き返ったそうです。 もちろん村人たちは小踊りして喜びあったのですが、その喜びも束の間、翌日に蛇は山伏姿となって現れ、名主の三人娘のうち中の娘を嫁にと連れて、揖斐川を登っていきました。 泣きながらつけた紅、おしろい、水鏡に写った不憫な夜叉姫の面影を、名主はいつまでも忘れることができませんでした。 その後、名主は村人とともに、たびたび夜叉ヶ池を尋ね、龍神となった夜叉姫の姿を偲んだということです。 こうしたことがあってから、日照りが続くと村人たちは、紅、おしろいを土産に、龍の池、『夜叉ヶ池』に捧げる習わしとなりました。 今も美しい伝説として語り伝えられていま...
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高島鴨川初釣行

標高1214m、比良山系最高峰を誇る武奈ヶ岳から湧き出る清冽な水は、尾根の西側で安曇川に流れ込み、東側は高島鴨川となって琵琶湖に注ぎます。 その高島鴨川は、流程20kmに満たない小規模な川ですが、上流部にはイワナ、アマゴが生息し、中流部にはニジマスが放流されています。 琵琶湖には大小120本もの河川が流入しており、琵琶湖を海にみたてて『ビワマス』のような独自の生態系による生きものが生息しています。 しかし、そんな固有の在来種である『ビワマス』の溯上が不可能となっているのが、この高島鴨川です。 まだ残暑の残る8月27日、以前から気にかかっていたこの川に、今回初めて訪れたのですが、まず砂防堰堤のあまりの多さに驚かされました。 村の中を流れる中流部の5kmほどの区間だけでも10個ほどの堰堤があり、そのほとんどが5m以上の高さで魚道も無く、落ち込みもコンクリートで護岸されて、魚が潜めそうな釜の部分がありません、 落胆の色を隠せないまま上流部へ移動し、最奥の入漁券売り場で状況を確認したところ、このところの渇水では最上流部へ行かないと釣果には恵まれないだろうとのこと。 とりあえず、上流部の車道が途...
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U川の実力

季節は、ほぼ十五日毎に変わります。 毎週のように大自然の中に身を置いて五感を研ぎ澄ませていると、季節の変化を身体全体で感じることができます。 暑さも収まるという『処暑』が間近に迫った8月20日(土)は、『安・近・短』釣り場でお茶を濁すつもりでした。 しかし、前日にたまたまF氏と逢う用事ができ土曜日の予定を聞いたところ、T川も素掛けが解禁になり“今シーズンの鮎釣りはもう終わりや”とのことで、急遽U川への釣行が決まりました。 ここしばらくまともな釣りができていなかったこともあり、久しぶりにイワナの強い引きが味わえると思うと心が少し震えます。 ただ、朝一番の5時に現地に到着するためには、我が家を夜中の1時に出なければなりません。 となると眠りに就く時間がほとんど無い・・・! 相談した結果、会社から帰ってすぐ出発することにしました。 というわけで、現地の鳩ヶ湯温泉前に到着したのが草木も眠る午前1時です。 缶ビールを飲み干し、早速仮眠をとることにしました。 こういうとき素早くベッド代わりになる私の車は便利です。 朝5時に起床して川を見ると少し増水していますが、問題ない水量です。 勇んで鳩ヶ湯温泉...
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西野川釣行記

霊峰御岳と木曽駒ケ岳の間を縫うように流れる木曽川は、上流部の木曽福島あたりで王滝川と二つに分かれます。 その王滝川の支流で御岳ロープウェイに続くパノラマラインの眼下を流れるのが西野川です。 ここ西野川にはC&R(キャッチ&リリース)区間が下流部に設けてあり、魚が濃いという情報を信じて、お盆休みで帰省した8月14日単独で出かけてきました。 朝4時に実家の岡崎市を出発、中央自動車道中津川I.Cを降り、R19(中仙道)を北上し、標高700m西野川出合いのお祭り広場に6時半に到着しました。 広場にある事務所で入漁券を買おうとしたところ、まだ閉まっています。 しかたなく上流部へと車を走らせました。 初めて釣行に出かける川というのは、どこから入渓したらいいのか分かりません。 ウロウロと走るうち、格好の入渓ポイントを見つけました。 西野川の支流で白川という谷にかかる橋の下が降りやすくなっています。 西野川との出合いまでは500m程あるため、100m位川原を歩いたところから橋までを試し釣りすることにしました。 水量としてはかなり減水している様子ですが、水温は14℃で、さすがに標高3,000mから流れ出...
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8月の濡れた身体

8月に入り立秋を間近に迎えた6日の土曜日、アマゴは水温も上がり厳しい状況が予測されたので、ここはひとつ鮎釣りにでも挑戦してみようとF氏に声をかけたところ、待ってましたと色よい返事が返ってきました。 『フライフィッシングに魅せられて』というこのブログのテーマからは外れてしまうのですが、渓流釣りには変わりないわけだし・・・などと無理っぽいこじつけで自分の気持ちを納得させます。 6時に葛川沿いのいつもの広場で待ち合わせ、F氏の車に荷物を積み込み、いざ出発です。 道中、先週の西穂高登山や蒲田川での鮎釣り、フライフィッシングでの釣果など詳細に報告を受けます。 ブログには書かれてませんでしたが、鮎釣りでは30匹くらい釣り、ホテルで同宿している皆さんにも塩焼きが配られ、大いに喜ばれたそうです。 蒲田川といえば富山湾に注ぐ神通川の支流である高原川の支流にあたり、奥飛騨温泉郷から流れ出る温水の影響で3月解禁当初からドライフライで尺物が高確率に狙える・・我われフライフィッシャー憧れの川です。 さて、話が盛り上がっているあいだにT川に到着しました。 そして、川を見て唖然・・・! なんと濁っています。5-6人...
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夏アマゴ一里一匹

昔から“夏アマゴ一里一匹”と言われています。 それくらい夏のアマゴは釣りにくいのです。 暑くなって水温が上がると、アマゴ達は食欲が無くなり、少しでも冷たい水を求めて移動したり、或いは底の方でジッとしてしまいます。 避暑地へ出かけたり、クーラーの効いた部屋で昼寝を決め込む人間と同じです。 それでもどこかに暑さに強い遺伝子を持ったアマゴが居るのでは・・と、淡い期待を抱きながら、二十四節季でいう大暑にあたる23日、母なるT川へ出かけてみました。 標高500mのT川上流部は湿度をほとんど感じないくらい爽快で、昼食後に木陰で昼寝をしようとすると寒さを感じるくらいです。 朝6時に現地に到着し、一発大物を狙って、核心部である中流部の青い橋までの区間に入渓しました。 同行は先週の打波川釣行で膝に負傷をし、まだその傷が癒えていないN氏です。 水量は思った以上に多めですが、水面には朝もやが漂い、幻想的な雰囲気がムードを盛り上げます。 朝まず目の静寂の中での第一投。いつものことですが緊張感が走ります。 しかし、瀬の好ポイントでのファーストヒットは、12cmほどのアマゴです。 その後も釣れてきたり、ヒットして...
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骨酒の染み透る夜

昔、九つの頭を持つ龍がいて、その龍は一年に人間を九人食べていました。ある時ひとりの男が龍を倒すと、龍の頭が川になりました。 そんないわれを持つ九頭龍の頭のひとつである打波川へ行ってきました。 同行は、F氏、N氏、M氏と私の4人です。 実を言うと今回は、フライフィッシングもさることながら、最初からキャンプの夕餉のほうに興味の大半が注がれていたのです。 各自が思い思いの食材を持参し、満点の星の下さわやかな冷気につつまれて、骨酒でも飲みながら大いに盛り上がろうという魂胆です。 現地へ到着したのが16日の朝8時。川の状態は、3日前の雨もようやく落ち着きを取り戻し、平水より若干増水気味ですが何とか釣りになりそうです。 鳩ヶ湯温泉の例の無口な主人から年券を購入し、私と松チャンは鳩ヶ湯温泉の下流部、F氏とN氏は温泉の先にある堰堤の上流部へと入渓しました。 私のファーストヒットは丁度区間の中間地点あたりにある深瀬から続くそこそこ流速のある開きのポイントです。 28cmのきれいなイワナでした。いきなりこういうグッドサイズが釣れてしまうのがここ打波川の魅力のひとつです。今回は、増水気味で魚の活性が低いと見...
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唯我知足

またしてもT川は.我われに厳しい試練を与えてくれました。 直前3日間の降水量が0であることを確認して出かけたはずですが、朝7時半に到着してみると予想をはるかに超えた水量です。 この川の持つ想像を超えた保水力に少なからずショックを受けながらも、とりあえず中流部の青い橋まで見に行こうと車を走らせました。 しかし、今度は途中の堰堤の手前付近で非情にも土砂崩れが発生していたのです。 これでは増水時の唯一の保険である奥川並谷へ行くこともできません。 やむを得ず、いつもの本流上流部に入渓しました。 増水してはいるものの、ポイントはそれなりにあります。 今回同行したのは、親会社であるN商事のM君です。 メインフィールドが通天湖で、そこの特別優待会員とのことですが、それだけ通っているということです。 管釣り経験が豊富なだけに無難なキャスティングと安定した飛距離の持ち主です。 あと自然渓流での魚が潜むポイントを覚えて、ラインを手繰るスピードと流れのスピードを同期させればもっと釣果は上がるはずです。 釣りはじめて3つ目のポイントでM君にファーストヒットです。 18センチくらいのアマゴでした。 が、しかしフ...
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T川道場

6/24(土)はFF歴のまだ浅い近所のT君と先週同様、湖北のT川へ行きました。 到着したのは朝7時で、入渓ポイントは、F氏お気に入りの通称青い橋の下流部です。 このポイントは深い瀬や大きな開きを構えた淵が連続するT川の中でも一級のポイントです。 先週プロ級?の腕前の持ち主であるF氏とH氏が攻め立てた後だけに、ここしばらくの渇水状態と相まって、かなり厳しい条件であることは予測されました。 まず最初の淵で驚かされました。体長25~26㎝は優にある丸太のようなアマゴが水面上に完全に露出してライズしています。 これは朝一からツイテいるなと、二人同時にライズポイントめがけて自慢のフライをプレゼンします。ところが、フライを変えてもフックサイズやティペットの号数を落としても全く反応してくれません。 それより釣れるものなら釣ってみろとあざ笑うかのように、その後もライズは頻発します。ついキャスティングに力が入り、知らぬ間にポイントに近づきすぎてしまいました。 気がついた時にはもうライズは消えていました。 朝一のミスは、その後のキャスティングに微妙に影を落とします。 気を取り直してその後続く瀬を攻めます。...
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