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T川、ナイスバディと戯れる

湿り気を帯びた重い空気が川面を覆うこの季節、ここT川にもようやくアブラビレ族たちにとって心躍る時がやってきたようだ。 今年の冬は雪が多く、名うての豪雪地帯であるこの辺りは、例年より季節が3週間程遅れている。 曇天微風に平水といった、まれにみる絶好の条件に恵まれた5月、朝一番は本流中流部に降り立った。 今回の同行は、私とロートルコンビを組むNO氏。 二人合わせて108歳という年齢は、如何に煩悩を捨てきれるかが釣果を左右する・・? 水温12℃、この川のベストコンディションと言っていい。 入渓早々、無欲の(?)NO氏にヒット。 20cm程の綺麗なアマゴだが、その体高の高さに驚かされる。 しばらくして、私に連続してヒットしたのは、いずれも22-23cmの良型アマゴ。 “ナイスバディ!!”と思わず叫んでしまいたい、そんな衝動に駆られるのは、いかにもオヤジ的か・・・? しっとり濡れたそのグラマーな姿態に触れるその瞬間を求めて、遠路も厭わずやって来るのであり、また、キャッチした美形をリリースする瞬間に癒されるのである。 それからしばらくは、好ポイント毎に良型アマゴの反応があり、時を忘れて釣り進む。 ...
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追憶の日々

季節外れの台風が、愉しみにしていたT川の今季初釣行を断念させてしまった。 もう少し若ければ、雨をも厭わず出かけたのだろうが、メタボリックシンドローム予備軍となりつつある重い腰と、五十路を越えてすっかり衰えた体力は、何としても行きたいという気力を萎えさせてしまう。 T川上流にある谷のさらに上流域を開発して、2001年冬にオープンした『ベル○○○』スキー場は、雨が降るたびに露出した地肌を伝って砂まじりの泥水を提供してくれる。 ミルクコーヒー色と化した本流の前では、ただ呆然と立ち尽くすしかない。 さらに、中流部に計画されているダム工事は着々と進んでいるようで、またひとつため息が出てしまう。 これだけ釣場環境が悪化して、ここ2-3年の釣果が著しく落ちているにもかかわらず、なぜまたこの川に行きたくなってしまうのだろう。 それは、過去の想い出を引きずっているからに違いない。 今でも脳裏に焼きついている、2002年初夏のことを・・・。 その日は、前日に降った雨による増水が引いた後の適度な水量と、小雨のぱらつく蒸し暑い空気といった最高の条件がそろっていた。 朝9時にいつもの上流部ポイントに入渓すると、...
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寒狭川釣行記

愛知県東部を流れ、三河湾に注ぐ豊川。 その上流部は寒狭川と呼ばれ、春は渓流釣り、夏は鮎釣りで賑わう愛知県を代表する名川である。 上流部にはイワナが潜み、アマゴ主体の中流部にはC&R区間が設けられている。 ゴールデンウィークの5月3日~4日、帰省を兼ねて初めて訪れてみた。 ここ寒狭川には、上流部と中流部に二つの漁協が在り、当初はイワナ狙いで上流部に入るつもりだったが、現場に着いてみると車の止められそうな場所は、餌釣り師とおぼしき車に既に占拠されており、遅出の私には入る余地が無い。 連休ということもあるが、改めて人気の高さをうかがうことができる。 やむなく中流部まで車を走らせ、入漁券売り場で情報を得ることにする。 日券が1,000円と安い。 いつも思うことだが、中部・北陸方面の入漁券はどこも1,000円前後と比較的安いのに、関西地区は高すぎる・・・、愚痴ってもしょうがないが。 情報によると、寒狭川中流部は成魚放流が中心で、鮎釣りが始まるまでが釣期とのこと。 まだ魚は残っているという話を真に受けて、とりあえず券売り場直下を釣ることに。 水温は12℃とまずまずで、このあたりは水深30cmから7...
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T川有情

秋の訪れが本格化する9月最後の連休、今年のフライフィッシングの終焉をどこの川で過ごそうか・・・。 人に邪魔されず、静かにのんびりとキャスティングを愉しみ、そして渓魚たちに別れを告げたい・・・。 そんな思いを満たしてくれるところといえば、私にとっての母なる川、T川しかありません。 気ままな単独釣行と2日間たっぷり時間があるということで、現地到着が朝8時半といつもよりゆっくりめでした。 実を言うと今回は、過去に25cm以上の『T川アマゴ』が釣れた渕や瀬を、ひとつひとつ辿る想い出巡りの旅であり、また、最近興味を持ち始めたウェットフライを試してみるといった、二つのもくろみがありました。 前夜苦労して巻いたウィング付ウェットフライが5本と、ソフトハックルフライが5本。 これらを試すことが出来るのは本流中流部ということで、朝一番は、青い橋下流のポイントに入りました。 このところの好天続きで川はかなり渇水状態ですが、水温は16℃とまずまずです。 ドロッパーにピーコックボディのEHC16番、リードフライにはクイルボディのパートリッジ16番を結び、いよいよ至福の時の始まりです。 夏のあいだ賑やかだった蝉...
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T川 忘れ物を探しに・・・

T川と最初に出逢ったのは、もう15年くらい前になります。 まだ寺町二条にあった頃の『プロショップ ゼロ』に居たスタッフの一人に、“幅広の綺麗なアマゴが釣れる川が在りますよ”と、教えられたのです。 その頃の私は、F氏から教わったテンカラ釣りにハマッており、そのためのフックやマテリアル等を購入したり、情報収集のために時折『ゼロ』を訪れていました。 そこで、いつも魅せられてしまうのが、ガラスのカウンターの上に置いてあった、素晴らしい魚体の“T川アマゴ”の写真でした。 早速F氏とT川釣行が決まり、中流部の田戸地区にある最大支流の奥川並川へ入り、そのときは何故か餌釣りでしたが、上流部の細くなった深瀬で、25cmを超える見事な魚体のアマゴに出逢ったのでした。 それ以来毎年のように、数多くの25cmを越える“T川アマゴ”との出逢いがありました。 渓流釣りをする者にとって、尺を超えるサイズを釣るというのはひとつの憧れですが、25cmというのは、釣果としてある程度の満足感を得られる(決勝進出?)サイズです。 特に、T川で釣れる25cm以上の“高時アマゴ”はヒレピンでグラマーときていますから、掛けたあと強...
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揖斐川水系坂内川

標高1,209mの三国岳は、その名前の由来の通り、ちょうど滋賀県と福井県と岐阜県の県境にあります。 その三国岳のすぐ傍にあり、龍神伝説で有名なのが『夜叉ヶ池』です。 昔、ある年大変な日照りが続き、困り果てた村の名主が、乾ききった田んぼで出逢った小さな蛇に向かって、「お前が雨を降らせてくれたなら、どんな願いもかなえよう」と一人ごとを言って家へ帰りました。 すると、待ちに待った雨が一日中降り出し、田んぼにたっぷりと水がたまり、農作物はみんな生き返ったそうです。 もちろん村人たちは小踊りして喜びあったのですが、その喜びも束の間、翌日に蛇は山伏姿となって現れ、名主の三人娘のうち中の娘を嫁にと連れて、揖斐川を登っていきました。 泣きながらつけた紅、おしろい、水鏡に写った不憫な夜叉姫の面影を、名主はいつまでも忘れることができませんでした。 その後、名主は村人とともに、たびたび夜叉ヶ池を尋ね、龍神となった夜叉姫の姿を偲んだということです。 こうしたことがあってから、日照りが続くと村人たちは、紅、おしろいを土産に、龍の池、『夜叉ヶ池』に捧げる習わしとなりました。 今も美しい伝説として語り伝えられていま...
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高島鴨川初釣行

標高1214m、比良山系最高峰を誇る武奈ヶ岳から湧き出る清冽な水は、尾根の西側で安曇川に流れ込み、東側は高島鴨川となって琵琶湖に注ぎます。 その高島鴨川は、流程20kmに満たない小規模な川ですが、上流部にはイワナ、アマゴが生息し、中流部にはニジマスが放流されています。 琵琶湖には大小120本もの河川が流入しており、琵琶湖を海にみたてて『ビワマス』のような独自の生態系による生きものが生息しています。 しかし、そんな固有の在来種である『ビワマス』の溯上が不可能となっているのが、この高島鴨川です。 まだ残暑の残る8月27日、以前から気にかかっていたこの川に、今回初めて訪れたのですが、まず砂防堰堤のあまりの多さに驚かされました。 村の中を流れる中流部の5kmほどの区間だけでも10個ほどの堰堤があり、そのほとんどが5m以上の高さで魚道も無く、落ち込みもコンクリートで護岸されて、魚が潜めそうな釜の部分がありません、 落胆の色を隠せないまま上流部へ移動し、最奥の入漁券売り場で状況を確認したところ、このところの渇水では最上流部へ行かないと釣果には恵まれないだろうとのこと。 とりあえず、上流部の車道が途...
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U川の実力

季節は、ほぼ十五日毎に変わります。 毎週のように大自然の中に身を置いて五感を研ぎ澄ませていると、季節の変化を身体全体で感じることができます。 暑さも収まるという『処暑』が間近に迫った8月20日(土)は、『安・近・短』釣り場でお茶を濁すつもりでした。 しかし、前日にたまたまF氏と逢う用事ができ土曜日の予定を聞いたところ、T川も素掛けが解禁になり“今シーズンの鮎釣りはもう終わりや”とのことで、急遽U川への釣行が決まりました。 ここしばらくまともな釣りができていなかったこともあり、久しぶりにイワナの強い引きが味わえると思うと心が少し震えます。 ただ、朝一番の5時に現地に到着するためには、我が家を夜中の1時に出なければなりません。 となると眠りに就く時間がほとんど無い・・・! 相談した結果、会社から帰ってすぐ出発することにしました。 というわけで、現地の鳩ヶ湯温泉前に到着したのが草木も眠る午前1時です。 缶ビールを飲み干し、早速仮眠をとることにしました。 こういうとき素早くベッド代わりになる私の車は便利です。 朝5時に起床して川を見ると少し増水していますが、問題ない水量です。 勇んで鳩ヶ湯温泉...
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西野川釣行記

霊峰御岳と木曽駒ケ岳の間を縫うように流れる木曽川は、上流部の木曽福島あたりで王滝川と二つに分かれます。 その王滝川の支流で御岳ロープウェイに続くパノラマラインの眼下を流れるのが西野川です。 ここ西野川にはC&R(キャッチ&リリース)区間が下流部に設けてあり、魚が濃いという情報を信じて、お盆休みで帰省した8月14日単独で出かけてきました。 朝4時に実家の岡崎市を出発、中央自動車道中津川I.Cを降り、R19(中仙道)を北上し、標高700m西野川出合いのお祭り広場に6時半に到着しました。 広場にある事務所で入漁券を買おうとしたところ、まだ閉まっています。 しかたなく上流部へと車を走らせました。 初めて釣行に出かける川というのは、どこから入渓したらいいのか分かりません。 ウロウロと走るうち、格好の入渓ポイントを見つけました。 西野川の支流で白川という谷にかかる橋の下が降りやすくなっています。 西野川との出合いまでは500m程あるため、100m位川原を歩いたところから橋までを試し釣りすることにしました。 水量としてはかなり減水している様子ですが、水温は14℃で、さすがに標高3,000mから流れ出...
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8月の濡れた身体

8月に入り立秋を間近に迎えた6日の土曜日、アマゴは水温も上がり厳しい状況が予測されたので、ここはひとつ鮎釣りにでも挑戦してみようとF氏に声をかけたところ、待ってましたと色よい返事が返ってきました。 『フライフィッシングに魅せられて』というこのブログのテーマからは外れてしまうのですが、渓流釣りには変わりないわけだし・・・などと無理っぽいこじつけで自分の気持ちを納得させます。 6時に葛川沿いのいつもの広場で待ち合わせ、F氏の車に荷物を積み込み、いざ出発です。 道中、先週の西穂高登山や蒲田川での鮎釣り、フライフィッシングでの釣果など詳細に報告を受けます。 ブログには書かれてませんでしたが、鮎釣りでは30匹くらい釣り、ホテルで同宿している皆さんにも塩焼きが配られ、大いに喜ばれたそうです。 蒲田川といえば富山湾に注ぐ神通川の支流である高原川の支流にあたり、奥飛騨温泉郷から流れ出る温水の影響で3月解禁当初からドライフライで尺物が高確率に狙える・・我われフライフィッシャー憧れの川です。 さて、話が盛り上がっているあいだにT川に到着しました。 そして、川を見て唖然・・・! なんと濁っています。5-6人...
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