追憶の日々

季節外れの台風が、愉しみにしていたT川の今季初釣行を断念させてしまった。
もう少し若ければ、雨をも厭わず出かけたのだろうが、メタボリックシンドローム予備軍となりつつある重い腰と、五十路を越えてすっかり衰えた体力は、何としても行きたいという気力を萎えさせてしまう。

T川上流にある谷のさらに上流域を開発して、2001年冬にオープンした『ベル○○○』スキー場は、雨が降るたびに露出した地肌を伝って砂まじりの泥水を提供してくれる。
ミルクコーヒー色と化した本流の前では、ただ呆然と立ち尽くすしかない。
さらに、中流部に計画されているダム工事は着々と進んでいるようで、またひとつため息が出てしまう。

これだけ釣場環境が悪化して、ここ2-3年の釣果が著しく落ちているにもかかわらず、なぜまたこの川に行きたくなってしまうのだろう。
それは、過去の想い出を引きずっているからに違いない。
今でも脳裏に焼きついている、2002年初夏のことを・・・。

その日は、前日に降った雨による増水が引いた後の適度な水量と、小雨のぱらつく蒸し暑い空気といった最高の条件がそろっていた。
朝9時にいつもの上流部ポイントに入渓すると、いきなり24cmのアマゴが出迎えてくれた。
その後も、ポイント毎に23-25cmのアマゴが貪るようにアタックしてくる。
圧巻は、いつも良型が潜む曲渕で、フィーディングレーンを流れるフライをゆっくり吸い込んだ31cmの重量感のあるアマゴ。

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そして、渕の上流にあるブッシュの中から飛び出した29cmのイワナが続く。

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ここのイワナは背中の白点があまり目立たないヤマトイワナに近い系統。
さらに、橋の手前でヒットしたアマゴは、どう見ても35cm位はあったと思われたが、下流に思いっきり走られて6Xのティペットをぶっち切っていった。
締めくくりに、よく肥えた29cmのイワナをキャッチして、午前中の釣りを終えた。

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大型のバラシはあったものの、午前中だけでこれだけの良型がキャッチできたのは、初めての経験だった。

午後から雨が強くなり、土砂降りの中、最上流部で28cmのアマゴをリリースしてこの日の釣りを終えた。
正確な数は覚えていないが、この日は23cm以上の良型ばかりを20匹以上キャッチしたと記憶している。
また、別の日には中流部の青い橋の上流で、カゲロウのスーパーハッチに出くわし、夕方の6時頃から30分ほどの間に、二つの渕で25-29cmのアマゴを立て続けに6匹キャッチしたこともあった。

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そう、こんな輝かしい日々の記憶があるから、“T川詣で”はやめられない!

もちろん、当然のことながらF氏も私同様、いや私以上に大型のアマゴやイワナを数多くキャッチしているのである。(O)