手取川散策

梅雨も明け(たんじゃなかろうか?)、本格的な夏の到来。京都では祇園祭の鉾建ても始まり、町行く女性の華やかさに目を奪われるくるおしい季節である。
T川では鮎も解禁し、渓流は高度を稼ぐ釣りの季節となった。
ここ数年U川の手軽さについつい誘われてイワナ釣りらしいイワナ釣りはトンとご無沙汰してしまっているなと常々思っていたところ、H氏からどこか面白い釣り場はないかとのお誘いがあった。
とはいえ、準備も情報もなくテント持ちでホイホイ行けるほど詳しく知る谷もない。
かねてより私の瀬波川の話に少しく興味を持ってくれていたH氏であることを思い出し、手取川の大杉谷と瀬波川に紹介がてら行って見ることにした。
AM4:30大杉谷ナナコバ谷出合い上流部の入渓ポイントに到着、まだ薄暗い。フライが見える明るさになるまで暫くの間待つ。
入渓点は平瀬になっていていつもこのポイントでイワナのご機嫌伺いをしてみる、ライズがあり2~3尾の小物が釣れればその日の釣果は約束されている。が、今日はさっぱり反応なし。
5:30、すっかり明るくなりフライも確認できるようになった。最初の堰堤までは100m程、この区間は準備運動区間で小物が多い。20cm程のを4~5尾確認して堰堤を巻く。
右岸の巻き道は土砂崩れで土砂がむき出しの急斜面になってしまっていた。滑ると20m程落ちなければ止まりそうにないのでザイルで確保しながら慎重に巻く。
巻き道はほとんどなく、当然踏み跡も明確に確認できるものはない。ということは、この上はパラダイス?…期待は膨らむ。
堰堤上の堆積帯に出来た柳の林を抜けると落差のある美しい渓谷が広がる。最初のポイントで26cmをH氏がGet、黄色い腹をした野性味たっぷりのイワナだ。
だが、その後ここぞというポイントではほとんど反応はなく、思わぬところから飛び出るという釣荒れた川の典型的な出かた。踏み跡もないし入渓者が多そうな雰囲気もないのにこのような状況、釣り方が悪いのかイワナのご機嫌が悪いのか…

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22~23cmアベレージを二人で15尾くらいは釣っただろうか、次の堰堤を巻き三つ目の堰堤までやったが画期的に釣れだしそうになく一旦入渓ポイントに帰ることにした。

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入渓点下流をやってみたが状況は同じでどうも今日は大杉谷のイワナたちはご機嫌斜めなのだと意見は一致した。

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時刻は既にPM1:00を回っている。早めに瀬波へ移動しておけばよかった。
瀬波林道終点の少し手前が出水で崩れていたが取水堰堤までは300m程、多分午前中に入渓者が有っただろうが今は他に車はない。急ぎ入渓PM3:00。熊に遭わないためには4:00には終わりたいところだが1時間ではどうにもならない、5:30まで釣りあがり帰りに30分というのがギリギリというスケジュール。
入渓後すぐに22cm程のが釣れるものの後はなかなか出てくれない。少々増水ぎみでポイントが限られるので目ぼしいポイントに絞って釣りあがる。

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この川はいつ来ても美しい、下流は堰堤群でチャラ瀬ばかりだが取水堰堤上流はこれぞ日本の渓流といえるすばらしいロケーションだ。

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ポツポツと20cmクラスが出る、この辺りでこの時間帯の入渓では釣れるだけでも良しとしなければならないかと納得しながらの遡行にやっと28cmが出てくれた。

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その後H氏にも27cmが出て押しの強い流れに走ったイワナの強い引きに感動していた。
予定の5:30を超過して6:00前までやってしまったので急いで谷を降りたが、谷下りはやはり結構こたえる、林道が有れば楽だが林道が出来ると川が荒れる。どちらがいい?しんどくてもいいから林道は要らない、川がいつまでもきれいであって欲しい。

イブニングにあと30分ほど残っているので、下流のキャンプ場あたりをやってみた、いかにも放流ものという20cm程の青白いイワナを二人で7~8尾、魚影は濃いようだがやはり分厚い流れから飛び出す野性的なイワナを釣った後ではいくら釣れてもこのような魚に感動は起こらない。
H氏の瀬波の評価はかなり高く、是非とも朝一から上流の核心部を釣りたいと息巻いていたのだった