鹿害

鹿や猿や猪、野鳥が増えすぎて作物が荒らされると聞き始めて随分経つが、大変だなという思いはあっても自分自身がさして被害を被っていなかったので差し迫って対策を望むという事もなかった。
このような動物の出没地域で生活していない人達はほとんどがそんな感覚ではなかろうか。
種の繁栄という生物発生以来の意識せざる企みによるものなのだろうから増えすぎた動物に何の罪もない。ヒトという天敵の繁栄の過程により発生した事象であり、人間社会に不利益であるヒト側から見た観測に過ぎない。
残念ながらこのような哲学を深々と書き綴る知識もなければ想像力もないが、釣りの哲学ならば…いや思い込みなら人並みには持っているのだが。
さて、難しい哲学などはさておいて、ここ最近鹿の被害という釣り師たちの体験談をよく耳にするようになった。いっぱしの釣り師であれば夜討ち朝駆けは一般常識、深夜に釣り場へ突っ走るのは不可欠な事なのである。
釣り場へ通じる道というのは先に述べた動物たちの活動圏内にある。で、よく耳にするというのは鹿をはねたという話。随分以前からカモシカにぶつけたとか猪を轢いたとかいう話はあったが、こうも頻繁に、また身近にこのような経験をしたということはここ最近のことである。
森があり道路脇に草が茂っているところであればどこでも鹿を見かけるようになっている。昨夜などは対向車線を塞ぐように大きな鹿が悠然と立っていた。ハイビーム走行だったので早めに気が付いてゆっくり停止できたが、奴はさして慌てる風でもなく私の進行方向の車線を横切って去っていった。
奴らとの事故率は急激に高まっている、こう思うのは私だけではあるまい。作物の被害に泣いておられた方々の危機感を身にしみて感じるこの頃である。

北陸の渓流はイブニング絶好調である。よく目立つミドリカワゲラのハッチがイブニングというには早すぎる時刻から始まる。
未明から先行入渓されている場所であっても午後から十分に満足できる釣果に恵まれるいい季節なのである。
今回はおなじみH氏と4:00に現地合流、4:30には入渓というフライフィシングとは思えないスタート。イワナちゃんもこれに応えるように浅い淵の玉石のごろごろした岸際でライズして待っていてくれて出だし好調、数尾の良型をHitさせたりばらしたり。やはり朝一先行が渓流釣りの基本だ。ところがその好調も100mほどで止まってしまった。

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先行者はない、水量は少ないが例年に比べて釣れない原因になるほどの減水でもない。ただこのコースは入渓者が最も多い人気ポイントである。思うに多分毎日たたかれている、それも日に2度も3度も。魚が流れに出ていないし、巻き返しや石裏からも反応しない。
イブニング、それも完全に暗くなってからしか就餌行動に出ないのではないかと諦め気分の午前中の本流であった。それでも11:00まで頑張ってみたが、2人で10尾も捕れなかった。
昼飯までに何とか気分を直したいと谷へ向かう。さすがにこの谷は濃い、シビアな反応ながら反応はある。僅かなドラグや、流すレーンの僅かな見切り違いでばらしたり掛け損なったりはするものの正確に流せば#10のカディスにも食ってくる。13:00までやってやっと飯を食う気になった。

caddis

昼食後、椅子に座ったまま眠っていた、目が覚めたのは16:30、暫く首が痛かった。
さて、イブニングはどこで!、もちろん昨年好調だった上流のポイントと暗黙の了解。ところが2台先行が停まっている。だめか…もうダメ元でチョット様子を探るしかない、H氏が入渓早々に良型を出す。ミドリカワゲラがチラホラ飛び出てきた、イワナの反応もポイント毎にある、型もまぁまぁ。

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堰堤を上がると型が良くなって来た、昨年ほどではないが25cm前後が次々とHitする。80%くらいの入れ食い状態になってきた。

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霧が山の中腹までを覆っていたせいか早い時間から光が弱かったので夕暮れに気が付かないまま入れ食いを楽しんでしまい、ふと時計を見ると19:00を回っていた。

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尺を期待したが26cmが最大であった、とはいえこれだけ釣れてくれれば満足!言うことなし。