渓が呼んでいる

5月に2~3回行った後6、7、8月と天候不順に阻まれ9月の台風が去った後気温が下がるとムラムラと渓(たに)の誘惑が頭を占領し始めたが、水位は一向に下がる気配もなく3連休後半になってようやく安定してきたが、もう次の休日は10月・・・
特に休日に釣りに行かなければならないほど忙しい訳ではないがなかなか平日釣りに行くとは大将に申し出難いのだが、もうこの切羽詰まった状況は何とかしておかなければ半年死んだように生きていかなければならないのは嫌だと意を決し26、27日と今年最後の渓流釣りに行ってきた。釣りごときになんでそこまでと思うかもしれないが分かってくれる人は分かる筈
26日午前中野暮用を済ませ11時出発、行先は福井U川、石川富山も行きたかったがここは確実に水位が下がっていて途中の道路も通行不能ではないことが確認できた唯一の渓だったので。
まず初日は様子見でI谷取水堰堤まで行けるのかという問題解決、この悪天候続きの中でも来てる人は来ているのだなぁと思うほど谷沿いの道はきれいに整っていた。秋の日はつるべ落としという、さっそく準備を済ませ取水堰堤から4つ目の堰堤間へ。
5つ目の堰堤まで様子を見た。4つ目の堰堤間の反応は少なく4尾出たが20cm程度、堰堤下でバックり出てくれたやつはいい引きをしてくれて楽しませてくれたが、楽しみすぎて途中でバレてしまった。
5つ目の堰堤間の途中は全く反応なし、以前この堰堤下は深い淵でフライでは勝負にならなかったのだがこの淵が浅くなっていいポイントになっていた。この堰堤下の淵がこうも変わったのは初めてだ、相当の土砂が流れたと推測できる。おかげで、いつもなら皆目反応もなかった堰堤下で25cm程度を2尾追加できた。

既に5時を過ぎていたのでこの堰堤を巻いていたら日没までに林道へ上がれるかどうか微妙なので今日はここまでとし、明日朝から弁当持ちで超えて行こうと引き返す。

いつもならSNM辺りへ転進するところだが、今回はU川で今年を締めくくろうとコンビニの駐車場で検討を重ねて(大そうだが)決めた。
翌日の食料、飲料を仕入れて再びU川へ帰ったが、夕食は広く空を見渡せるところでのんびりしたいので鳩ヶ湯から暫く上った道端の芝生状の空き地でゆったりと森と谷の闇に浸って1時間ほど孤の自由を満喫し、若い頃はよく山奥に入って山の夜を楽しんでたなぁと懐かしくもあり、この先あと幾度こういう気分を味わえるのやらと寂しさも入り混じった焦りさえ少し感じている自分を見つめていた。
夜間雨は降りそうにないが、I谷取水堰堤で寝ていて大雨でも降られて林道が通れなくなると困るのでI谷林道へ少し入ったところで荷台をベッドにして就寝、10時半を少し過ぎていた。
翌朝6時前に起床、平日なので少しゆっくりしてもよかろうという次第である。ベッドの荷台を整頓して取水堰堤へ、一番乗り。
カップスープとコッペパンをほおばり準備完了、いざ出発。

林道から下降して6番目の堰堤上に立てるが、その手前第5堰堤から第6堰堤までの間にいい型が入っているのでわざわざ第5堰堤のヘリの崖の崩れた斜面をへつる。この堰堤の向こうにはロープがかけてあるのだが垂直の壁面にぶら下がるには技がいる。
朝一から結構苦労して入る価値のある堰堤間であった。以前は・・
ところが、堰堤上に出てガッカリ、土砂がいい渓相を埋めてしまって魚がつくポイントがほぼなくなっていた。
何とか23cm程のがぼつぼつ出てはくれるが反応が渋い。ジーっと毛鉤を観察してフッと触る程度でタイミングを誤ると空振り、2度と反応しなくなる。そんな感じで第6堰堤まで5~6尾同じような型を上げ第6堰堤上に出ると全く渓相が変貌していた。
ポイントがなくなっているわけではないが二股に分かれた川の中洲状の地帯の木々がなぎ倒されてしまって、浅く砂で埋められたポイントが多くなってしまっていた。30分ほど釣りあがったが、反応が少なくくっきりした足跡が多く残っていた、こういう谷では前日、前々日の入渓でもイワナの反応はかなり悪くなる。増水の中でも入渓のできる林道から結構入っているんだなと落差がきつくなるところまでやってここは切り上げることにした。


第5堰堤近くの崖には大きなスズメバチの巣が


食いは渋いがこんなサイズが適度に出てくれた


このポイントも尺上御用達だったがなぁ


林道に咲く可愛い野菊にちょっと釣り足りない気分を癒される。

帰り道昨日入っていない第3堰堤下を狙ってみた。途中はほぼ反応らしいものはなかったが、堰堤下の流れを探ると魚影がついてきた。
そして、まず29.5cmの泣き尺、そして30cmジャスト、25cm程度を3尾挟んで28cmと一つの堰堤下だけでたっぷり楽しめた。

荒い流れから見過ごしそうなくらい頭だけ出して食った29.5cm


2つの流れだしの間の緩流帯に入っていた30cm、フルヌードで飛び出してくれた


30cmのアップ、優しい顔だからメスかも知れない。

28cmも撮ったつもりだったがもう1尾尺をと焦り跳ねて絵にならない写真になっていた。
ここでちょうど正午になり、弁当を広げて暫く堰堤風に吹かれながら3ヶ月のブランクを埋めてくれる瞬間に出会えたことに感謝。

取水堰堤に帰ったのが1時頃、まだ帰途に就くのは早いので鳩ヶ湯上流の本流をのぞいてみた。
観音谷出合から次の堰堤まで、この区間は入ってすぐの100mほどと堰堤下流200mくらいがフライでは釣り易い。
途中は深い淵がいくつかあるが釣れたためしがない。結局堰堤まで18cm~20cm程度の稚魚が5尾ほどで堰堤到着

堰堤下第1投に来た25cm、その後も同じようなサイズが立て続けに5尾出たが期待の大型はそうそう思い通りには出てくれない。


この堰堤下は人気が高い、きっと大型が入っているのだが未だに28cmどまりだ。


堰堤の急斜面を上がり、その上流をやる。早い流れから頭出しで食ってきたが空振り、再度流すが空振りでやっぱり渋いなぁ。
左岸から流れ込む谷の出会いが釣って下さいと言わんばかりのベストポイントになっていた。手前の少し緩い流れに毛鉤を落とすとよさそうな奴がグルンと食ってきた。が、全く手ごたえなし。もう一度流しまたグルンと来るのに手ごたえない。あれで掛からないか~。
そういえば先ほどの流れで出たのも完全に食いに来ていたのに手ごたえさえも感じなかった。もしやと毛鉤を確認するとティペットが針にくくれて逆向きになっていたという笑えない失策であった。
そこからは何度かアタックはあるものの食うまで行かない。
橋の下、ここで最終にしようと巻きの流れに乗せたフライにバシャンと派手に来た。よく引くので今日2尾目かと思ったが28cmだった。

今年は天候と仕事が合わず3ヵ月の間自主自粛をせざるを得なかった、8月好天猛暑の頃、鮎でもやろうかと思いはするのだが日中の気温の高さにひるんでしまって出かける気合が入らなかったのである。
年々気候が不順になり、雨の予報は危険と思うようになった。昔は少し雨模様の方が釣れる、と何も思わずカッパさえあればと出かけていたが、山沿いの急激な大雨が多くなり降り出したらすぐに退避できる場所くらいしか行けないから面白い谷に入るには確信の持てる天候の日に限られるようになった。
きっと来年も同じだろう。思い立って天候に不安がなければすぐに行けるように準備を怠らないように、そして体調、体力を常に安定させておかねばなぁと今シーズンの反省と来シーズンへの期待を残して小雨の降りだした谷に暫しの別れを告げた。

コメント

  1. アバター画像 og より:

    今季の最終釣行、お疲れ様でした。
    いつもながら、フットワークの軽さと、単独で谷奥への果敢な挑戦、そして着実な釣果には圧倒されます。
    実は私も26日、27日と九頭龍川へ行っていました、九頭龍川中部漁協管轄で鮎釣りをしていて、増水の影響であまり釣れなかったので(2日間で僅か8匹)、28日にH温泉上流部に入り、27cmまでを5匹。午後からI谷へ行き、取水堰堤の二つ下の堰堤で何とラッキーなことに、31cmの尺イワナを釣ることが出来ました。
    I谷も先日の大雨で谷自体がかなり荒れていて川相が大きく変わりましたね。以前よかった堰堤のプールも、砂利で埋まっている所が多くあり、来季復活できるか心配です。いずれにせよ、今季の自然渓流におけるフライ釣行は終わってしまいました。また、半年間辛抱することになります。ただ、この待ちの時間があるから、解禁している時間が、より価値があるのかもしれませんね。
    来季は是非、一緒に釣行できる日があることを願っています。

    • アバター画像 Bird より:

      この厳しいシーズンには参りました。
      渓流の方はお疲れさまでした。まだ鮎は下りの塊狙えますね。
      U川は26、27日とI谷、本流ともに各ポイントごとに入渓してましたよ。
      そんな中31cmは渋いです。釣行の詳細記事お願いします。

      実は8月にはASW川の鮎を今シーズンずっと狙っていたんですが、体温に近い気温の中、直射日光に耐えられそうもなく行きそびれてしまいました。
      国道などは大方調べれば通行可能かどうか察しはつくのですが林道は行ってみないとわからないのでSNM奥も富山TGも今回は断念せざるを得ませんでした。
      渓流は7月には終わっておかないといけないなぁとしみじみ思わされたシーズンでした。
      事故なく終われて、最後の一発で納得できたのは幸いでした。
      来シーズンも元気に川に立てるよう頑張りましょう。