グラスのふちを回る

週末アングラーには巡りの悪い天候が続いている。
東北に豪雨をもたらしている前線が週末に掛けて南下してきていた。
昨年から気になっているMG谷を詰めてみたいが昨年入り口の辺りを様子見に入った程度で、思いを遂げられる程奥まで進入出来ていない。林道は残っているが入り口の橋は車は通過できない、林道登りと高い堰堤巻きを強いられるこの谷に同行してくれる可能性が有るのは昨年から高島トレイルピークハントに付き合ってくれている業師ことT氏以外に見つからない。
週末の予定はないというのでMG谷、O谷を攻めようという事になった、老師も加わるとのことで業師と老師の体力の折り合いのつくところが丁度私の体力になるなとメンバー構成はベストマッチ、後は一番乗りを目指すのみの計画だった。
木曜から雨量と水位を観察していたが、局地的に50mm前後の雨が北陸南部を何度か通過しているし基準にしているK谷の水位も上下を繰り返していた。どうも希望的観測が邪魔して客観的な判断が出来ない、というか諦めきれない、とりあえず行って見ないと分からないぜと老師、業師に決行メールを送ったのは前日お昼頃だった。

0:00に拙宅からT氏と出発、老師宅周りで湖西を北へ、高速の上限1000円は先週で終わったが我々の北陸行では夜間割引で1000円を越えることはないので財布には影響なし。
夜明けには目的地の状況が目視できるはず、状況を見て後はまた考えようと走り続けるが老師の携帯でK谷の水位の推移を確認するも状況に変化はなく入渓不可能な数値が上下を繰り返している。SNMなら何とか上流の取水堰堤が増水分を吸ってくれて中流部で入渓可能かも知れないとSNMを目指すことにする。

4時過ぎ、すっかり夜が明けたキャンプ場の橋に到着…SNMは釣りなど許してくれるような水量ではなかった。
北へ進路を取っても状況に変りはないはず、引き返してダムの対岸の谷など確認したがどこも同じである、K谷を見てみたが入り口で無理だと分かる水量である。

困った。昼まで待って水位が下がるか…予報から判断すると今後も追加降水があるようなので待っても無駄だ。
出掛けに思いのほかU川の降雨量が少なかったので最後のあがきにと思っていたが、まさに最後のあがきに頼らなければならなくなってしまった。

国道からU川へ下りた橋で川を見るが、ここもやっぱり無理という濁り…この濁りではI谷も無理なことは経験上分かってはいるものの現場を見ないと諦められない性なのである。不可能を確認に行く、上流へ力なくアクセルを踏むがみんな寡黙になってしまった。

I谷への途中、ふと目をやった谷の本流へ流れ込む水の色が怪しい、この谷は濁り易く最初から候補外だったが取り敢えず確認だけしようと林道から回り込んだ最初の橋でウソやろ!と思った、濁りなし、水量微増ながらほとんど釣りに影響はない、一気に気合が入った。この谷はあまりいい思いはした事はないがとにかく竿を出すことは可能だ、このままロッドケースから竿も出さずに帰るのかと諦めていただけにこの状況には感激した。

家を出て既に7時間経過、思い当たる谷々を無理の確認に周る、最後はグラスの縁から一気にグラスの淵に沈み込む。酒飲みとは違うグラスの縁を味わうのかと思いきやグラスの酒は週末アングラーにも甘いほろ酔い気分を味わわせてくれるのである。

他に入渓者は見当たらない、釣果は期待しては居ないが何とかイワナの顔を拝みたい気分だ。
上流も下流も魚影の濃さに変りのない谷なので下流の入りやすいところから入渓。
#12のEHCを下流へ流す、少しドラグがかかって沈み掛けた時イワナがチェイス、そのまま逆引きフラッタリングをかますとバックリ食ってくれた。入渓1発目にヒット…最近の傾向として入渓即ヒットは幸先が悪いのである。
老師のEHCに反応したが惜しくも空振り、同じ奴を狙って私がフラッタリング、即飛び出してくれたがこれも空振りに終わった。
上流へ先行した業師にヒット、思いのほかいいかもしれないと期待するも泣かず飛ばずの時間が流れる。
入渓30分が経過した頃老師に待望のヒットがありこれで今日はもう帰ってもいいなと胸をなでおろす。
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何とか2~3尾ずつキャッチできて、今日は一日この谷で茶を濁してもいいなと思い出した頃小さくゴロゴロとどこかで工事しているのかなと思っていた音が急に大きくなりだし、暗雲がすごいスピードで空を覆ったかと思うと大粒の雨が一気に降り出した。雷と暗雲を見てすぐに谷から林道に上がって車へ急いでいた途中であり合羽を着るか車まで走るか悩んでいた最中に降り出し合羽を着た頃にはもうびしょ濡れであった。この降雨量で山中に滞留するのは危険と下山にかかるが雨は数分で上がり、空も明るくなってきたので昼飯でも食って様子を見ることにする。また先ほどの雨がふってきたら昼寝も出来ないのでタープを張り昼食、ところが逆に日差しが強くなってくる始末、雨よけタープが日除けになってしまった。
今期初めての徹夜釣行で爆睡してしまった、午後3時強い日差しに照らされたウェーダーが無性に熱くなり目が覚めると、老師が『えらい事になってるで』という、谷を見るとミルクコーヒーが滔々と流れていた。僅か数分の大雨がこの谷全域に降るとこうなるのである、イブニングまで待っても濁りが薄くなる可能性は低い。

どうせダメならとI谷を見に行くことにする、I谷にかかる橋から確認すると濁っていない!
I谷林道へ急旋回、最初の橋の袂に1台確認、途中車はなく、取水堰堤に2台を確認、最下流と最上流ということは中流部が我々のフィールドになるが、これは願ってもない幸運であった。なにせこの谷の中流部はいつも水量が極端に少なく普段なら釣りにならないが増水時には普段岩陰に潜んでいる奴らが一気に出てくるのである。

最初に老師に、次に私に、なかなかポイントに恵まれなかった業師にもようやくヒットしてボツボツながら釣果を伸ばしていく。
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次第にイブニングタイムになっていく中、釣果もイブニング状態になっていく。堰堤を2つ越え、3つ目の堰堤下で今日イチサイズ27cmを業師が仕留める。
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次の堰堤が先週老師コンビで爆釣したポイントである、期待しながら流れから次々とヒットを重ねて進む先に堰堤が見えたが…残念ながら先着有りであった。
サイズこそ20~23cmと振るわなかったが数は3人とも満足出来る範囲内であった。
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朝、本日の釣りは不可能と諦め掛けた状況でこれだけ釣れれば充分である。
最終のイブニングは最下流の橋の下と老師に指定され急ぎ降りるもここも先着ありであったが、スルーするのに悔しさなど微塵も起こらない満足の一日を過ごさせてもらったU川であった。

別信
5年前に初めてツバメが巣を造り出したがその年は造りかけで放棄、その後毎年幾つかのペアが興味を示すものの去っていっていたが、今年のは大増築に取り掛かり抱卵し始めた、4羽が孵って可愛い黄色い嘴を大きく開いて餌をねだっていた。
ところが2羽がスズメに落とされたか自分で落ちてしまったのか落下して発見した時にはすでに息を引き取っていた。残った2羽も落下したのだが幸い車の天井に落下したので巣に戻してあげたら元気になった。
そして最近、そろそろ巣立ちそうな勢いなのである。上手く写真に納まってくれないが何だか可愛くて仕方ありません。
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とうとうと言うか無事に2羽のツバメは巣立っていきました。
嬉しいような寂しいような複雑な気持ちです。毎日少しずつ大きくなっていくのが嬉しくて、もうすぐ巣立つな~って楽しみにしていたのに、いざ巣立っていってしまうと何か寂しくなってしまいますね。来年無事にまた帰ってきてくれるでしょうか。雛を見ていると親ツバメは私たちを威嚇するような飛び方をするんです、お前の赤ちゃんの糞の始末までしてやってるんだぞと思いながらも親心の勇敢さに感激したりしました。
我が家はこの1ヶ月ツバメ中心の生活だったようです。